Spangle call Lilli line 「Dreams Never End」

Dreams Never End

Dreams Never End

1998年結成の3人組による、約3年ぶり10作目。


アルバム表題に掲げた「夢は終わらない」というメッセージ、その言葉のあまりにも清冽とした響きであることよ。New Order の楽曲名から拝借したとのことですが、独自のスタンスを保ちながら結成20周年を迎えた彼らだからこそ、その言葉は嫌味や衒いなどなくスッと胸に響いてきます。音楽的には最近の彼らの傾向である、音数をなるべく抜いたシンプルなアレンジを目指しながら、それぞれの音の質感や配置といった音響性、いわゆるポストプロダクションに重きを置いた内容。それでいて中心にあるメロディは、前作「ghost is dead」での何処か内省的な翳りを帯びた感触とは対照的に、風通しの良くオープンな印象が全面に出ています。特に視界がパッと拓けるような鮮烈さを見せる疾走チューン「red」「sai」、クリーントーンの音色やヴォーカルの瑞々しさが緩やかに染み渡る「still three」「mio」、中村弘二とのコラボレーションで一層深遠なムードを纏った「therefore」など、いずれにしても朝露のように繊細な美しさ、そして単純な歌モノには終わらないインテリジェンスを兼ね備えた、正しく SCLL 印と言える作品かと思います。

Rating: 8.0/10



Spangle call Lilli line "mio" (Official Music Video)

NORIKIYO 「O.S.D. ~Old School Discipline~」

O.S.D. ~Old School Discipline~

O.S.D. ~Old School Discipline~

相模原出身のラッパーによる、3ヶ月ぶりのリリースとなる EP 作。


前作からわずか3ヶ月、しかも頭3曲はわずか1日の間に書き上げたとのこと。その3曲がまた舌鋒鋭いディス曲だったりするので、彼の中でよっぽど腹に据えかねた出来事があったのでしょう。スタイルだけの模倣に落ちたラッパーを叩き切る「日記 ~追記あり~」、またしても某シマウマさんへの痛烈なメッセージが込められた「何だそりゃ?」、現場主義としての立場から全方位的に喧嘩を売る「山道」と、まあいつにも増して臨戦態勢。これがアルバム表題に掲げられた「おじさんのしつけ」の所以だと思いますが、しかし極端に短い制作時間にもかかわらず、圧倒的な密度で詰め込んだ押韻ボキャブラリーの豊富さ、またそれらの一語一語をハッキリと聴かせながら、流れるようなフロウで曲全体の流れを損なわないという、いわゆる硬さと柔らかさのバランス感覚が絶妙で、この辺のラッパーとしての技量の高さは流石 NORIKIYO といったところですね。音楽的に新しい側面が見られるかというと微妙なところはありますが、あくまでも今現在における彼の中で旬となっている言葉を伝える、という意味では意義のある一枚かと思います。

Rating: 6.8/10