High on Fire 「Electric Messiah」

エレクトリック・メサイア

エレクトリック・メサイア

カリフォルニア出身の3人組による、3年4ヶ月ぶり8作目。


今年まさかの復活作を上梓した Sleep は今現在においても衰えることなく、むしろその存在感を昔より更に強烈なものとしていました。これは Matt Pike が単なる懐古主義者ではなく、絶えず第一線でこの High on Fire としての活動を継続していたからこそ、Sleep にもそのフレッシュな現役感が付いてきたのではないかなと思います。すでに散々指摘済みのことでしょうが、彼の中に DNA として Black SabbathMotörhead の二大巨頭が組み込まれており、Sleep では前者、High on Fire では後者の方が強めの配分で表れています。ただ表層的なトリビュートには終わらず、より重く、より野蛮に在ろうとする探求心を常に燃やし続ける姿は、本質的な意味で先人達の意志を引き継いだ、それこそアルバム表題通りのロックンロールの救世主と言えるのではないでしょうか。実際今作も地雷を踏み付けながら爆走するような痛快極まりないヘヴィチューンのオンパレードであり、過去最長の尺となった「Sanctioned Annihilation」など質量ともに限界をまたひとつ更新しています。また一際メロディックな仕上がりの終曲「Drowning Dog」は彼ら流の NWOBHM と言って良いのか?激シブ。

Rating: 8.0/10



High On Fire - Electric Messiah

Behemoth 「I Loved You at Your Darkest」

ポーランド出身の3人組による、約4年半ぶり11作目。


語弊を恐れずに言えば、これは Behemoth 史上最もユーモラスなアルバムかもしれません。もちろん彼らの信条であるデス/ブラックメタル由来のブルータルな攻撃性は健在。ただ今作はそこばかりに重きを置いておらず、こちらの意表を突いてのあどけない子供コーラス、グレゴリオ聖歌風の荘厳なクワイア、またギターフレーズには悲愴や切迫を感じさせるナイーブな叙情性もそこかしこに表出し、「We Are the Next 1000 Years」での複雑なテクスチャーの重層が浮遊感を醸し出す様子は Alcest や Deafheaven などポストメタル勢に通じる美しさ。あの手この手で様々なアイディアを盛り込んだ結果、彼らの宗教的世界観がますますパノラミックに広がり、まるで一大オペラのごとく重厚かつドラマチックな流れを構築しています。その上で従来のアグレッションは全く損なわれることなく、むしろリード曲「God=Dog」などは特に、キャッチーな即効性と禍々しいムードを一層増して凄まじい殺傷力と化しているのだから唸る他ない。活動歴20年以上の大ベテランにも拘らず、ここに来て更なる深化と窓口の拡張を同時に遂げて見せた傑作です。

Rating: 8.7/10



Behemoth - God=Dog (Clean Version)