Belle and Sebastian 「How to Solve Our Human Problems, Pts. 1-3」

昨年12月から連続リリースされていた EP 三部作を纏めた編集盤。


全15曲69分。これを正規のフルレンスではなく3枚の EP に分割した意図は少々掴みづらいのですが、こうして1枚に纏められた収録曲をざっと眺めてみると、例えばかつての The Smiths の編集盤のように、もしかするとオリジナル作以上かとも思えるほどにバンドの本質を浮き彫りにしています。基本はやはり、従来の彼らの強みである素朴で切ないメロディを活かした上質インディポップの応酬。そもそもがフルレンスとしての全体の流れというものを意識していないだけに、楽曲それぞれが個別の役割を持ってはっきりと粒立ち、独立したまま一枚の盤に共存しているような、それこそシングルコレクション的な充実した中身の分厚さ。その中にはまさかのベルセバドラムンベースかと少し驚かされる「We Were Beautiful」、彼らにしては随分と力強くアップリフティングな「Show Me the Sun」、彼らの近作での試みからそのまま地続きと言える70年代ディスコ風意匠の「Poor Boy」といったアクセントもあり、彼らがこれまでに見せてきた音楽性の総ざらい、なおかつそこからほんの少し踏み出した部分もあり、総じてベルセバの愛らしい魅力を十分に堪能できる好盤です。

Rating: 7.7/10



Belle and Sebastian - We Were Beautiful

凛として時雨 「#5」

#5(初回生産限定盤)(DVD付)

#5(初回生産限定盤)(DVD付)

4年10ヶ月ぶりとなる6作目。


ベスト盤を挟んで心機一転の意図を込めたのか久しぶりのナンバリングタイトル。中身はそれこそ「#4」の頃から地続きと言える、相変わらずの過剰さで満ち溢れています。彼らの鳴らすプログレッシブな激しさは一聴しただけではその全貌を掴み切れず、フレーズの断片を少しずつ汲み取ることで曲の構造をようやく把握できるのですが、どうも今回はいつにも増してヴィジュアル系の遺伝子を感じる場面が多いような気がする。抽象的な言い方ではありますが、例えば高速のドライブ感の中に組み込むシンコペーションであったり、面妖な翳りを棚引かせるマイナー調のアルペジオであったり、楽曲の濃さを煮詰めれば煮詰めるほど彼らのルーツのひとつであるV系色が濃く浮き出ているように見えます。それと同時に彼ら特有の空間を埋め尽くす手数の多さ、展開の性急さもエスカレートするので異形さは弥増し、細部はV系に近づくけれども全体はV系から遠ざかるというアンビバレンスが発生するという。そんな具合でマンネリと言えばマンネリですが楽曲の密度はまたひとつ上限を超えた感があり、そのやり過ぎ感にはやはり笑いが込み上げてくるのでした。

Rating: 7.8/10



凛として時雨 『Chocolate Passion』