THE YELLOW MONKEY 「9999」

約19年ぶりとなる9作目。


ひどく潔い作品だと思いました。70年代グラム、ハードロック、そして昭和歌謡。楽曲を構成する成分としてはそういった、バンド結成の時点ですでに彼らの中に備わっていたものしかない。場面によってはストリングスを重ねて哀愁を引き立てたり、「Changes Far Away」では時事的にもバッチリの Queen 風アートロックサウンドを展開したりといった装飾はありますが、基本のバンドアンサンブルは驚くほどシンプル。ギターのダビングは最小限、ヴィンテージ志向の至ってトラディショナルな音作り、AB サビからギターソロという構成も今時珍しいくらいベタ中のベタ。再結成したバンドが解散以来ウン年ぶりの新作を出すとき、その復活作は己がどういうバンドかを再定義するような、飛び道具や実験性抜きの王道的内容になることが多いかと思いますが、彼らの場合はここ3年ほどを費やしてアルバムのマテリアルを徐々に増やしてきたというのもあり、その再定義において極めて慎重かつ誠実という印象を受けます。まあ何にせよ今の時代にはおおよそそぐわない。しかし彼らがこれまで時代にそぐう形だったことなどはなかった。これこそがイエモンとして在るべき姿。

Rating: 7.7/10



THE YELLOW MONKEY - I don't know

Anderson .Paak 「Ventura」

Ventura

Ventura

カリフォルニア出身のシンガーソングライターによる、5ヶ月ぶり4作目。


前作「Oxnard」と同じタイミングで制作、と言うかそもそも「Oxnard」が最初は「Oxnard Ventura」というタイトルでリリース予定だっただけに、基本的には同じベクトルを向いています。ソウル、ジャズ、ファンクといった要素を消化し、昨今のヒップホップや R&B ポップに直結するスタイリッシュな音像に仕上げた、何とも芳醇な音楽性。ただ微妙な差異ではありますが、「Oxnard」ではヒップホップ由来の前のめりなアッパー感を強めに打ち出していたのに対して、こちらはメロウでしなやかな感触の方が印象的。柔らかく深い慈愛に満ちたコーラスに始まる「Come Home」、さり気ないポジティブなバイブスで聴き手を包み込む「Make It Better」などを筆頭に、歌声や演奏を含めてとにかく手つきがスムース。ルーツに対して実直でありながらエレクトロニックな質感も取り入れた音作りからは、正しく現代の先鋭といった佇まいが浮かび上がって見えます。また歌詞では広い名声を手に入れながら一人の人間として愛情を欲するというような、ある種極めて真っ当なテーマが全編を占め、ポップスとしてのスタンダードを衒いなく歩むその姿はやはりスター然としてる。

Rating: 7.8/10



Anderson .Paak - Make It Better (ft. Smokey Robinson) (Official Video)