Mutemath 「Play Dead」

PLAY DEAD [CD]

PLAY DEAD [CD]

ニューオーリンズ出身の3人組による、約2年ぶり5作目。


今年に入ってからメンバー脱退が相次ぎ、オリジナルメンバーがヴォーカルの Paul Meany のみとなっていた彼ら。ただおそらく Paul の思想こそがバンドの音楽性の鍵を握っていたのでしょう、今作では従来のミュートマスらしい個性がさらに濃密に、かつチャレンジングな形で発揮されています。ファンク、ソウル、R&B といったブラックミュージックをオルタナティブロックの体内へと咀嚼した、非常にタフなアンサンブル。グッとタメの効いた16ビートのグルーヴを執拗とも言えるくらいに持続させ、柔らかく朗々としたヴォーカルが楽曲の印象を一層力強くオープンなものにしてる。なおかつ今回はシンセの比重がかなり高まり、エレクトロニカもしくはサイケ/スペースロックとも言える空間的、重層的なプロダクションが強調されています。時には歌声をすっかり覆い込むように浮遊感のあるサウンドが前面に出たり、手練れた演奏のバランスを敢えて解体する勢いの歪さを見せてくる。それは MuseColdplay とはまた異なる形で Radiohead の遺伝子が開花したような印象もあったり。ミュートマス健在をアピールする聴き応えモリモリの10曲51分。

Rating: 8.3/10



MUTEMATH - War (Official Music Video)

MERRY 「エムオロギー」

エムオロギー(初回生産限定盤)(DVD付)

エムオロギー(初回生産限定盤)(DVD付)

2年9ヶ月ぶりとなる9作目。


「Beautiful Freaks」でへヴィロックに寄り、「NOnsenSe MARkeT」でロキノンに寄りといった試行錯誤を経て、久々に元来の持ち味であるハード GS レトロックへと回帰。アルバム表題はメリーの M とイデオロギーを足した造語とのことで、その名が示す通りこれぞメリーと言える王道がギッシリ詰まった内容になっています。忙しなくパンキッシュなリズム隊に昭和歌謡風のメロディセンス、そしてエログロや軍国主義的モチーフ満載の歌詞世界という、メリーがメリーたる主要素は全編通じて余すことなく積載済み。そこにはゼロ年代初頭にあった密室系/地下室系の匂いも仄かに香り、その匂いを2017年の今でも残しているのは唯一彼らくらいなのではという気すらしますね。なおかつタフで洗練されたプロダクションは確実にここ数作での経験を踏まえたもので、きっちり進化も感じられる。ただ、確かに荒々しい勢いがあって痛快ではあるのだけど、楽曲が総じてどれも小粒すぎるというか、同タイプの楽曲が集まりすぎて全体の流れがのっぺりしたものに感じられるのですね。ここぞというハイライト、突出したキラーチューンに欠けてるのが惜しいなと。

Rating: 6.6/10



MERRY「エムオロギー」MUSIC VIDEO Full ver.