スピッツ 「見っけ」

見っけ(初回限定盤)(SHM-CD+Blu-ray付)

見っけ(初回限定盤)(SHM-CD+Blu-ray付)

3年3ヶ月ぶりとなる13作目。


グッと来る瞬間は多くあります。まず冒頭の表題曲「見っけ」からして、いきなりギターが豪快にジャカジャーンと。しかもドラムはシェイクビート。さすがにちょっと古くないか?と口が滑りそうになったものの、胸を躍らせながら未来へと向かうポジティブな歌詞も相まって、良い意味でベテランらしからぬパワフルさ、瑞々しさが曲全体からひしひしと感じられます。他にはラジオへの愛着を微笑ましいほどストレートに表した「ラジオデイズ」、しっとりしたフォーキーな憂いの中で「君が好き/レモン風味/軽い罪」と押韻していくその軽やかさに唸らされる「ブービー」、洒脱なファンクネスの上でそこはかとなくエロティシズムが香る「YM71D」、曲展開が強引すぎて笑ってしまう「まがった僕のしっぽ」など。これら曲毎に仕掛けられたフックがことごとく強いのに加え、ティーンエイジの希望(と僅かに孕んだ逡巡)を丁寧に描いたラインが多く目立ち、総じては大衆がスピッツに求めているであろう役割をきっちりこなしつつ、そのフォーマットの上で彼ら自身が気負いなく遊び、楽しんでいるという印象を受けます。ある意味バンドの理想形か。

Rating: 7.9/10



スピッツ / ありがとさん

Cocco 「スターシャンク」

約3年ぶりとなる10作目。


聴いていて最初に感じたのは意外にも「安心感」でした。それは単純に中心のメロディのせいだと思います。彼女のメロディセンスの根本はデビューの頃からほぼ変わっておらず、ヴァース・コーラス・ブリッジを丁寧に重ねていく曲構成も含めて、90年代 J-POP の最も熟した部分がそのまま現在に持ち越されているようでもあり、新譜であるにも拘らず不意に懐かしさを覚える。しかしながらそのメロディを飾り立てるアレンジは非常にバラエティ豊かで、これまでのキャリアの中で1、2を争うほどの多彩な内容となっています。特にアルバム後半の流れが強烈。仄暗く神秘的なエレクトロポップ「Ho-Ho-Ho」、そこから一気にキラキラアッパーに突き抜けるダンスチューン「願い叶えば」、淫靡なゴス性を(何故か)バリバリに発揮した曲名そのままの「極悪マーチ」、中島みゆきNirvana …ではなく Korn との邂逅となった「Come To Me」と、光から闇、端から端までの移行がダイナミックすぎてもはや笑いすら込み上げてくる。アルバム表題の「スター」がそれらの雑多なアイディアだとすれば、軸を意味する「シャンク」はちょうど先述のメロディ、ということかなと。

Rating: 7.7/10



Cocco 「願い叶えば」 Music Video