踊ってばかりの国 「君のために生きていくね」

君のために生きていくね

君のために生きていくね

神戸出身の5人組による、約3年ぶり5作目。


この3年の間に半分以上のメンバーチェンジが起こっていますが、バンドの中の芯、つまり全ての作詞作曲を手掛けるヴォーカル下津光史の思想はずっと一貫しています。60~70年代のサイケ/フォークロックを下敷きとし、牧歌的な雰囲気の中にアシッドな毒っぽさを効かせた、ある種伝統的と言えるロックサウンド。この手の音楽性は never young beach や Yogee New Waves などの台頭で最近特に人気が再燃しているように見えますが、それら若手バンドと比べると彼らの音楽は似ているようで違う気がします。ノスタルジックで上品なメロディ、ふくよかな味のある演奏など共通する点は多々ありながら、何処か身を削ぐような生々しさ、エモーショナルで泥臭い人間味が歌や演奏の端々から匂い立っているようで、暖かな曲調とは裏腹の切迫感に思わず惹きこまれてしまう。アルバム後半に入るとブルース、パンク、ハードロックなどの要素も交互に顔を出し、優しさもしたたかさも色濃さを増して賑やかになっていく。曲や歌詞のメッセージに至るまで下津光史という人間の内面が余すことなく投影されたような、光も影も混ぜこぜになった16曲71分の大ボリューム。

Rating: 8.0/10



踊ってばかりの国『メロディ』Music Video (2018)

Sleep 「The Sciences」

The Sciences [Explicit]

The Sciences [Explicit]

カリフォルニア出身の3人組による、19年ぶり4作目。


今年の頭に行われた Sleep 初の来日公演、凄かったですね。オーディエンスの鼓膜を潰す気満々のアンプの要塞を背にして、酩酊とも恍惚ともつかない仙人のような佇まいでルーズな爆音を垂れ流す、その極悪かつ極上の気持ち良さといったら、やはり彼らは現場の音響を体験してこそのバンドなのだなと痛感させられました。そして突然リリースされた今回の新譜、Marijuanaut なる造語を錬成していて曲名から笑わせてくれる。宇宙飛行士ならぬ大麻飛行士といったところか、彼らが鳴らす音のトリップ作用は聖なる山やエルサレムを越えて大気圏を突破するほどに効力を増しているということです。6曲53分と長尺曲のオンパレードではありますが、反復の心地良さを保ちながら絶妙のタイミングでギアチェンジを入れる曲構成の巧みさ、スリーピースならではのシンプルかつダイナミックな演奏の旨味、またアンビエント的な浮遊感を醸し出す静パートのアクセントなどもあり、「Dopesmoker」の洗礼を受けた身にしてみればもはやコマーシャルな印象すらあるほど、予想以上に入り込みやすい。オールドスクールの手法に拘りながら革新を見せる、男気の濃縮された一発です。

Rating: 8.5/10