筋肉少女帯 「ザ・シサ」

1年ぶりとなる19作目。


今年でメジャーデビュー30周年を迎えた筋少の新作は、自らの持ち味になお磨きをかけて地盤を固めつつ、あくまでも前を向いた姿勢をアピールする内容となっています。X JAPAN「PROLOGUE (〜WORLD ANTHEM)」を思わせる絢爛なセッション「セレブレーション」に始まり、ポップとファンキー曲担当の本城聡章、メタルとバラード担当の橘高文彦、その合間を縫って変な曲を挿入する内田雄一郎と、綺麗に役割分担されたコンポーザー三人が交互に個性を発揮し、それらを大槻ケンヂの歌詞が強引に纏め上げて筋少の判を押すという、長い時間の中ですっかり確立された安定のスタイル。相変わらず手数大盛りの演奏や、ゾンビやイタコなどのモチーフを改めて引っ張り出すなど、音的にも歌詞的にも筋少を構成する諸要素が再提示されている、という意味では総集編的な作品と言えるかもしれません。しかし30周年のキャリアを振り返っての思いであったり、全ては見方次第で変わるというアルバムテーマにしても、今現在のオーケンの中で強まっている考えを前面に打ち出しているためか、良い意味で落ち着きのない印象の方が強い。ここから何処まで転がっていくやら。

Rating: 7.2/10



筋肉少女帯「オカルト」MV

Vince Staples 「FM!」

FM!

FM!

  • Vince Staples
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1900
カリフォルニア出身のラッパーによる、約1年半ぶりフルレンス3作目。


コミカルなジャケットだったり、オープナーが「Feels Like Summer」なる曲名だったりで一体何があったのかと疑うレベルのイメージチェンジですが、その陽気なイメージをさらに180度裏切る、異様な緊張感に満ちたトラック。「太陽が沈むか銃が撃たれるまでパーティーしてる」、つまりいついかなる時も危険がすぐ近くに潜んでいるという、米国におけるアウトローの現状を相変わらずの手つきで冷たく鋭く、時に挑発的な軽みでもって描いているということですね。アルバム構成としては表題通りに FM ラジオ番組のエアプレイを模したものとなっており、要所要所にラジオ DJ のトークが挿入されつつ、2~3分台のショートチューンが矢継ぎ早に繋がれ、その途中にはインタールードとして何故か Earl Sweatshirt や Tyga の新曲がツカミだけ流れたりで、全体を通しても僅か22分。この尺の短さもラジオ番組というコンセプトに則ったが故のことでしょうが、これをオリジナルフルレンスと銘打ってしまうというのがまた随分とラディカルと言うか、旧来のアルバム形式に囚われないフリーフォームっぷりが際立っています。キレたセンスは変わらず。

Rating: 7.3/10



Vince Staples - FUN! (Official Video)