Cave In 「Final Transmission」

FINAL TRANSMISSION (ファイナル・トランスミッション: +bonus track)

FINAL TRANSMISSION (ファイナル・トランスミッション: +bonus track)

米国マサチューセッツ出身の4人組による、約8年ぶり6作目。


冒頭に据えられた表題曲「Final Transmission」は簡素なギターと鼻歌のみのデモトラック。このボイスメモを作ったベーシスト Caleb Scofield は昨年不慮の事故で他界しています。デビュー時からのバンドメイトを亡くし、残されたマテリアルを元に何とか完成までこじつけたというバックグラウンドは、この作品からどうしても切り離して考えることは出来ません。音楽性としてはかつての「Jupiter」~「Antenna」期に顕著だったスペースロック路線。演奏はハードコア出身ならではの骨太なパワフルさを放っていますが、メロディは翳りを帯びた美しさを湛えて壮大に広がり、ともすれば繊細、ナイーブといった印象も受ける。序盤「All Illusion」「Shake My Blood」では特にそのメロウな感触が強く、そこからロックンロールの野性味が加わった「NIght Crawler」、そしてドリームポップ風の深遠なノイズを膨張させる「Lunar Day」と、硬軟のバランスをしなやかに移ろわせる懐の深さは彼らならでは。ただそれらには一貫して緊張感や物悲しさが強く滲み出ている。盟友 Aaron Turner によるアートワークも含めて、これが Caleb への彼らなりの哀悼、ということでしょう。

Rating: 8.2/10



Cave In "Shake My Blood"

Full of Hell 「Weeping Choir」

Weeping Choir

Weeping Choir

2009年結成の4人組による、2年ぶり4作目。


前作「Trumpeting Ecstasy」においても共通していたことですが、グラインドコアやデス/ブラックメタルを基盤としつつ、Merzbow や The Body といったノイズ・エクスペリメンタリストとも積極的に共演するなど、エクストリームな音楽要素を貪欲に取り込む強靭な胃袋、その彼ら最大の武器は今作にも活かされています。オープナー「Burning Myrrh」からして獣性迸るブラストナンバーなのですが、ギターはブラックメタル由来の毒々しさを発しつつ、何処かホワイトノイズ的な浮遊感も孕んだテクスチャーで、強烈な刺激とともに不思議と心地良さを感じる。そこから「Rainbow Coil」ではアンサンブルを解体してコラージュ音響実験に走ったり、「Armory of Obsidian Glass」では邪念に満ちたドゥーム/スラッジ地獄へ落ちたり、「Ygramul the Many」ではサックスまで突っ込んでフリージャズ風展開を見せたりと、あちこちを迂回しながら獣道を暴走していくスリルはますます強化されています。これまでの経験を全て消化し、散漫になることなくメタルバンドとしての肉体性で纏め上げる、その剛腕が一層冴え渡った11曲24分。

Rating: 7.9/10



FULL OF HELL - Burning Myrrh (Official Music Video)