早見沙織 「シスターシティーズ」

早見沙織/シスターシティーズ

早見沙織/シスターシティーズ

  • アーティスト:早見沙織
  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: CD
東京出身の声優シンガーによる、ミニアルバムとしては3年3ヶ月ぶり2作目。


2018年作「JUNCTION」ではほぼ全ての楽曲が彼女自身のペンによるものでしたが、今作は全曲が外注。それも田淵智也堀込泰行NARASAKI錚々たる名前が並んでいるわけですが、いずれの作家も早見沙織という人が何者であるかを十分に把握しているからか、「JUNCTION」で提示していたシティポップ路線を踏まえつつ、そこから少し枝葉を伸ばす、彼女の世界観を順当に拡張させる楽曲ばかりが揃っています。特に印象的なのはジャズやボサノヴァへのアプローチ。しっとりしたスウィング感を取り入れてますますアーバンな洗練に向かった「yoso」や、洒脱なアコースティックサウンドの中で物憂げな表情を浮かべる「ザラメ」「遊泳」など、いずれもジャズ要素が伸びやかな歌声を上品に彩る必須要素としてすっかり咀嚼されており、付け焼き刃だったり背伸びしているような不自然さを全く感じさせない。軽やかさや透明感の中に仄かな哀愁、微細な感情の揺れを含みつつ、あくまでも落ち着きを保った優美な歌の数々。その表現力が先述の「ザラメ」ではもはや新居昭乃の領域にまで接近しているようにも見える。まだまだ底知れないポテンシャル。

Rating: 7.7/10



早見沙織「yoso」Creator's MV

工藤晴香 「KDHR」

大阪出身の声優シンガーによる、初ソロ作品となるミニアルバム。


かねてから hide や LUNA SEA への憧れを公言していたり、DJ パーティーでは Nine Inch Nails や Bring Me the Horizon をプレイしていたりと、元々その手の素質があった上での Roselia への参加、そして今作。全ては必然性という強固な一本の線で繋がっています。完全にメタルポップの申し子ですね。研ぎ澄まされたヘヴィネスとハイテンションなアニソンポップスの融合…と言うとすでに喜多村英梨などが通過済みの道ではありますが、彼女の場合は厳つい演奏と丸っこい声質のミスマッチ、言わば BABYMETAL マナーを基盤とし、そこから展開の多さと煌びやかなシンセで目まぐるしさを倍増。それでいて全体的にはメジャー感が強く洗練されている印象すらもあり、ある意味2020年ならではの J-POP のスタンダードとも言えるのではないかと思うのですが、ここ10年ほどの間に濃いアイドルソングが増えすぎたせいで自分の感覚が狂わされているだけかもしれませんね。ただ他のメタル派アニソンとはっきり差別化が図れているかと言うと、今作の時点ではまだ他から頭一つ抜けるような所までは行ってないかと。今後に期待ですね。SUGIZO 楽曲提供とかしないかな。

Rating: 6.7/10



工藤晴香「MY VOICE」MUSIC VIDEO(short ver.)