sigur rós 「með suð í eyrum við spilum endalaust」

Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust

Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust

オリジナル作品としては 「Takk...」 以来3年ぶりの5作目。邦題は 「残響」 。


最初聴いたときは 「こんなバンドだったか?」 と驚かされました。1曲目 「gobbledigook」 は歯切れの良いアコギと土着的に打ち鳴らされるドラム、そこへ上品な甘さのメロディがそよ風のように過ぎていく、ひどく爽やかな開放感に溢れたポップ曲。その後もホーン隊が加わってさらに力強さを増す 「Inni mer syngur vitleysingur」 「Við spilum endalaust」 、優しい浮遊感に満ちた 「Goðan daginn」 と、どれも明確にキャッチーなメロディが前に立っていて、雰囲気系ポストロックだった以前とはほとんど別モノ。しかし単なるセルアウトではなく、いずれにも幻想的で壮大なスケール、暖かな包容力といった彼らならではの個性は貫かれており、それを十分に踏まえた上で明快なポップネスを取り入れてるという。正直この前半だけなら何の文句もない傑作だったんですが、後半 「Með suð i eyrum」 以降はいつものポストロックなシガロスに逆戻り。教会音楽のごとく重厚で神聖なムードが満載で悪くはないけど、前半があまりにも鮮烈だったのでかえって勢いを殺してるようにしか思えない。もう少し上手く折り合いをつけて最後まで突っ切ってほしかったなあ…という、個人的に惜しい気持ちの残る作品でした。あとジャケはこれ絶対ギャグですよね。


Rating: 7.6/10
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