CocoRosie 「Grey Oceans」

Grey Oceans

Grey Oceans

ニューヨーク出身の姉妹デュオによる、3年ぶり4作目。


幻想から幻想へ。シアトリカルなダーク/ゴシック風エレクトロニカという基盤は今作でも同じです。しかし前作 「The Adventures of Ghosthorse and Stillborn」 では童話風のあどけない可愛らしさと、小気味良いビートによる取っつきやすさがあったと思うのですが、今作では柔らかい歌声とアトモスフェリックなシンセ音が濃霧のように立ち昇る、よりディープかつミステリアスな音像となっています。アンビエントに通じる浮遊感とエキゾチックな妖しさ、体温を感じさせない冷たさと美しさ、そういった感覚が全体に通底した憂鬱なダークネス。聴いてる間にふと思い出したのは Bjork 「Vespertine」 。冷たさやエキゾチシズムの増加が余計にビョークを連想させる。さすがにあの領域ほどスピリチュアルな深さがあるわけではないですけども、何処かフォーキーな素朴さも感じられるメロディと、荒涼としたサウンドの深遠さは相性良く馴染み、彼女たちらしいポップなゴシック世界を展開しています。特にラスト2曲の、徐々に霧を破っていくような軽やかさにはハッとさせられる。ただジャケットの酷さはコレどうにかならんかったのか。


Rating: 6.8/10
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