キノコホテル 「マリアンヌの呪縛」

マリアンヌの呪縛

マリアンヌの呪縛

1年5ヶ月ぶりとなる4作目。


メンバーチェンジを経たとのことですが基本的にはいつものキノコホテル。昭和 GS 歌謡をベースとしたキナ臭く如何わしいバンドサウンドです。楽曲はもちろん音作りや録音に至るまで昭和風のいなたい質感を意識しており、そのローファイなムード作りに対する拘りは人一倍。しかしながら演奏に関してはパンキッシュな躍動感を強めるなどして、必要以上に歌謡的/演歌的にならない絶妙なバランスを保っているように思います。パッと見はコテコテ、けど意外にスッと飲めるという、そのバランスの良さは中心人物であるマリアンヌ東雲のキャラクターにも繋がってる気が。革張りの艶めかしいセクシーさを靡かせながら、年齢不詳のしゃがれた声で味のあるメロディをなぞる、そのスタイリッシュさとB級感の混在。ガレージの荒々しさですっ飛ばす 「冷たい街」 「ばら・ばら」 「恋の蟻地獄」 などに加え、7分に渡っての人力4つ打ちの縦ノリグルーヴがトランシーな恍惚感を醸し出す 「Fの巡回」 は面白い新境地。ただ今回は引きらしい引きのパートがラストの 「夜の素粒子」 くらいで、全体の流れがちょっと一本調子になってるのが惜しいかなと。ファンは納得の一枚か。

Rating: 6.9/10