Nothing 「Dance on the Blacktop」
- アーティスト: NOTHING
- 出版社/メーカー: ICE GRILL$
- 発売日: 2018/08/24
- メディア: CD
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前作「Tired of Tomorrow」も大概だったけど今回はさらに上を行くかもしれないくらい、完全に思い出迷子族。リズム面ではパンク/ハードコア出身ならではの骨格の強さがありつつ、ノイズとクリーンがしなやかに融合したシューゲイザーサウンドにグランジ/オルタナティブのラフな荒々しさも加味し、90年代初期~中期のロックシーンを独自に総括してしまったような、アルバム丸ごとが古き良き時代へのオマージュと化したと言っても過言ではない出来。本当にここぞという所でノイズギターが狙い澄まして切り込んでくるし、意地でも力を入れてやるかと言わんばかりの陶酔度の高いヴォーカルもシューゲイザーマナーを綺麗に踏襲したもので、その曲構成やらプロダクションやら、隅から隅まで計算し尽くされた楽曲の精緻さ、90年代以外の要素を極力排除した極端な潔さには流石に降参するしかないという気持ち。中盤「Us/We/are」に至っては微妙に Radiohead「Creep」まで入ってるようで笑ってしまった。オリジナリティをかなぐり捨ててでもアピールするジャンルへの愛情が結果的にオリジナリティになるという、ある種貴重な例ですよね。
Rating: 7.0/10