the HIATUS「Hands Of Gravity」

Hands Of Gravity

Hands Of Gravity

2年4ヶ月ぶりとなる5作目。


アコースティックサウンドやポストロック、エレクトロニカを取り入れるなどで作品毎に変化を続けてきた彼らの、ここが集大成になるのかと思います。柏倉隆史のドラミングは豊かな息遣いを感じさせる細やかなロール、伊澤一葉のピアノもジャズ/クラシックの素養を強く感じさせるプレイで存在感をアピール。「Bonfire」や「Secret」では特に mouse on the keys ばりのテクニカルなアンサンブルで、楽曲の緊張感がグッと高められています。その一方で最近の MONOEYES からのフィードバックもあるのか、「Drifting Story」は久しぶりに直線的なポップパンクの要素が大きく表れたキャッチーな一曲。また「Let Me Fall」や「Catch You Later」などにおいても、メロディの切なさと暖かみがまず最初にインパクトを残す。少しばかりの原点回帰的な部分を見せつつ、各メンバーの音楽的素養がバチバチとバトルを繰り返し、結果ロック/パンク以外の多様なジャンルが溶け合ってバンドの個性を新たにアップデートしています。ここまでくるといよいよ the HIATUS というバンドが完成の域に差し掛かっている気もしますが、次はどう出るだろうか。

Rating: 7.3/10



the HIATUS - Bonfire(Music Video)

神聖かまってちゃん「夏、インストール」

1年10ヶ月ぶりとなる7作目。


これまでにもたびたびコンセプトとして使われている「夏」。そのイメージに沿っているのかどうなのか、必要以上の飾りつけのないシンプルなバンドサウンドで、随分とスッキリした印象。ただそのせいでの子のヴォーカルの良い意味での気持ち悪さは一層浮き彫りとなり、楽曲の中で強烈な存在感を発揮しています。「リッケンバンカー」「天文学的なその数から」といった青春そのものの疾走ポップ曲がありつつ、「あるてぃめっとレイザー!」を彷彿とさせるハウリング塗れのパンクチューン「僕ブレード」、もはや随分と懐かしさのある「drugs,ねー子」と、メンタルの明暗が曲によってグルグルと入れ替わる流れ。しかし以前のように深刻に病んでる様子はさほどなく、全体を通して印象的なのはポジティブな前のめりの姿勢。あと歌詞の中には「うまくいかない事もあるさ人生」など、なんだか大人びた割り切りを感じさせる部分もあり、気づいたら彼らももうオーバー30だものなあ…と妙に感慨深くなったり。でも個人的に最もインパクトが強かったのは、不意にゴロリと搔き出された膿のような「ロマンス」でした。

Rating: 7.0/10



神聖かまってちゃん「きっと良くなるさ」MusicVideoフルVer.