Pissed Jeans「Why Love Now」
- アーティスト: PISSED JEANS
- 出版社/メーカー: SUB POP
- 発売日: 2017/05/24
- メディア: CD
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今作のプロデュースを務めるのが Lydia Lunch 御大。その影響が強く出たのか、これまではパンク/ハードコア成分の強かった彼らが、今回はノイズ/ジャンクロック方面へと舵を取り、ますます粗野で不気味なサウンドへと変貌しています。ギチギチに引き締まったベースが強い存在感を発揮し、アップテンポな曲では Motörhead の遺伝子を引き継いでいるように聴こえなくもないですが、何せ音自体の躍動感を打ち消す勢いで変態的なアイディアのインパクト、キナ臭い悪意的ムードの方が上回っているものだから、聴いてるこちらも白熱的な興奮というより怖いもの見たさのような感覚が強くなってくる。腹の底からの呻き声が何処かマゾヒスティックな恍惚のようにも映る「Waiting on My Horrible Warning」に始まり、何故か不意にギターフレーズから哀愁の色味を醸し出す「Love Without Emotion」、トライバルなドラムに乗せて女声の下劣な独白が垂れ流される「I'm a Man」、ドゥーム/スラッジばりのヘヴィネスの引き摺り倒しっぷりに脳が揺れる「Activia」など、気色悪いニタニタ笑いを浮かべながら迫る毒気満載の11曲。The Jesus Lezard や Helmet なんかが好きな方へ。
Rating: 7.5/10
JJJ「HIKARI」
- アーティスト: JJJ
- 出版社/メーカー: AWDR/LR2
- 発売日: 2017/02/22
- メディア: CD
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これぞ新世代と言うべきでしょうか、実に風通しの良い作品です。歪なビートの配置でうねるようなグルーヴを生み出す、理知的でありながら力強いトラック群。それは仄かにメロウで清涼感のある雰囲気だったり、やたらとブルージーな土臭さを感じさせるものだったり、まるで移り変わる映画のシーンに合わせたサウンドトラックのように、音の印象はスムーズにスライドしていく。その上で KID FRESINO や YOUNG JUJU ら盟友と手を取りながら繋いでいくラップは、軽いタッチで押韻しながらしなやかにフロウしていく、肩の力の抜けた柔軟さが光る。これ見よがしのフック、パンチラインをカマしていこうという意識が希薄なようで、それよりは全体の心地良い流れを重視し、平熱の温度を保ったままで言葉を紡いでいく。そのスタイルは過去の慣習に囚われない発想の自由さ、オリジナリティに対する意識の高さの表れだろうし、純粋に良い曲を書こうという素朴な良心のようにも見えます。特に終盤での、Fla$hBackS 勢揃いでマイクを回す「2024」から「DANCE SHOES」へのハートウォーミングな流れ、この掴みはもうズルいけど憎めないな。
Rating: 7.6/10