ENDON「THROUGH THE MIRROR」

THROUGH THE MIRROR (スルー・ザ・ミラー)

THROUGH THE MIRROR (スルー・ザ・ミラー)

2007年結成の5人組による、2年半ぶり2作目。


ギター×ドラムのみというシンプルな編成の楽器隊、そこに2人のノイズ・マニピュレーターが加わって惨劇のようなハーシュノイズを放射する、言わばジャパノイズ新世代の一派。しかし彼らは即興演奏ではなく、ハードコア/ブラックメタル/ポストロックの要素も多く盛り込み、脳髄と肉体を同時に震盪させる独自のエクストリーム・ミュージックを構成しています。今作はその中でもハードコア要素がより強調されており、猪突猛進なアグレッションにノイズのレイヤーが覆い被さった音像は、激しさと同時に奇妙な浮遊感、また得体の知れない化物が闇の向こう側で蠢いているような、薄気味の悪い不穏さも強く感じさせる。さらにはノイズの中に埋もれたギターフレーズに、もしかするとポストパンク由来だろうか、何処か淫靡で艶めかしい感触も見られるという、何とも複雑なテクスチャー。所謂ハイゲイン的な重さには敢えて寄らず、鼓膜にベタリと纏わりつくノイズならではの質感、音に詰まった情報量の密度を優先させ、実験性とキャッチーさをギリギリのバランスで両立させた作り。オリジナリティ溢れる手法で混沌の美しさを描き切った、極上の問題作です。

Rating: 9.0/10



ENDON "YOUR GHOST IS DEAD" (OFFICIAL VIDEO)

ちゃんみな「未成年」

未成年

未成年

現在18歳のフィメールラッパーによるデビュー作。


高校生 RAP 選手権で初めて目の当たりにした彼女は、明らかに他とは異質な才能をすでに発揮していました。結果は2回戦敗退ではあったものの、言葉をビートに乗せる時のリズム感覚の高さ、鼓膜に引っ搔き傷をつけるようなアクの強い声質は、他のバトル上位ラッパーよりもずっと深い爪痕を残していたと思います。その彼女の個性がこの初フルレンスでは全面開花。表題曲「未成年」や「FXXKER」といったアッパーチューンではその辺の野郎どもを蹴散らす勢いでビッグマウスな自己顕示をブチかまし、「BEST BOY FRIEND」「OVER」は強さと弱さが入り混じった彼女なりの言葉で綴るラブソング、「She's Gone」では若いながらも決して平坦では無かったであろう自らの道程をに赤裸々に綴る。歌もラップも巧みにこなすスキルの高さ、独特のスタイルのアピールのみならず、彼女の内面にあるリアリティをひっくるめて吐き出した、正しく映し鏡のような11曲。また TeddyLoid 作曲のクローザー「ダイキライ」は DAOKO 「ダイスキ」へのアンサーソング。洗練されたサブカルチャーアイコンに噛みつくアンチヒロインって、何だか燃える展開じゃないです?

Rating: 8.1/10



ちゃんみな(CHANMINA) - FXXKER (Official Music Video) [YouTube Ver.]