LOVE SPREAD「SAYONARA FOREVER (The Shape of J-POP to Come)」

SAYONARA FOREVER (The Shape of J-POP to Come)

SAYONARA FOREVER (The Shape of J-POP to Come)

2014年結成の2人組による初フルレンス。


メンバーの2人は日本人ですが現在は NY 在住。作品には J-POP 来るべきものと冠し、J-POP の秘める可能性をワールドワイドに提示しようと画策しています。音ゲーコントローラーをサンプラーに改造して繰り出されるのは、ピコピコのチップチューンを力強くブーストした痛快エレクトロポップ。縦横無尽に散りばめられたキラキラの上モノシンセ類、フリーキーに暴れまくりの大味なビート、ついでにメロディもとことんスウィートでキャッチー。ちょうどおもちゃ箱をひっくり返したような…というクリシェがよく似合うやりたい放題のキッチュさ。それは昨今の HARAJUKU KAWAII スタイルからの延長線上にあるものだろうし、女性メンバーの Narumi はどうやら関西出身で、学生時代から FLAKE RECORDS に通い詰めていたほどの音楽フリークとのことなので、もしかすると Limited Express (has gone?)ZUINOSIN など関西ゼロ世代の血も注入されているのかもしれない。ライブ現場のカオティックな狂騒が目に浮かぶ「Myrtle-Wyckoff」、歌詞のキツさが浮き彫りにされた「きっと目を開けてもいいことなんか何もないから」など、エグみも甘みも満載の10曲。

Rating: 8.0/10



LOVE SPREAD - Myrtle-Wyckoff

SEX VIRGIN KILLER「VAZINISM」

VAZINISM (ヴァジニズム)

VAZINISM (ヴァジニズム)

2006年結成の4人組による初フルレンス。


先日の「WE ARE X」のエントリ(こちら)でも述べましたが、X JAPAN が世にもたらした影響力は我々の想像以上に強く、ファンや後進のバンドマンはもちろん、メンバー自身の運命までをも大きく捻じ曲げた、本人達にも制御不能な怪物のようなものでした。その強烈な存在感は長い時間を経ても薄れることなく、今なお X によって人生を紅に染められてしまった悲しき運命共同体がここに。Atsuo(Boris)プロデュースによる生々しく土臭い音像は、ちょうどV系前史に当たる GASTUNK などの80年代ジャパメタに通じる意匠となっていますが、焦燥感に満ちたスピードに狂おしいメロディ、全編がクライマックスと言っても過言ではないドラマチックな曲調は完全に X のソレ。そしてヴォーカルがまた良い味出してるのだ。線が細く絶妙にピッチが不安定、その上でやたらとナルシスティックな色気を漂わせる、もうV系ならではとしか言いようのない歌声。特に「サヨナラ 幻の君へ」に至っては X 通り越して La'Mule じゃないかこれ。俺が中学とか高校の頃にこんな曲やってるインディーズバンドごろごろいたよ。色んな意味で聴いてて頭がおかしくなりそうだ。

Rating: 7.0/10



SEX VIRGIN KILLER - Virgin Killer