V.A. 「TRIBUTE OF MUCC -縁 [en] -」

TRIBUTE OF MUCC -縁[en]-

TRIBUTE OF MUCC -縁[en]-

初となるムックのトリビュート盤。


アルバム表題の「縁」は彼らが昔から継続している主催イベント「えん」とも繋がるもの。彼らがこの20年の間に音楽的、人間的にシンパシーを感じてきたであろう豊かな人脈がこの2枚に集約されています。cali≠gariPlastic Tree 、MERRY といった夢烏にはお馴染みの面々から、ROTTENGRAFFTYTHE ORAL CIGARETTES など最近の大型フェスへの意欲的な出演が実を結んだと思われるバンドまで、振り返ってみれば何とも幅の広い繋がり。これは彼らの色んな意味でのフットワークの軽さによるものだろうし、ヴィジュアル系のみならず日本のロックシーンの中でもいつの間にか独自の立ち位置を確立したように見えます。そして今回のカヴァーの仕上がりもバンドによって本当に様々。個人的には sukekiyo や gibkiy gibkiy gibkiy のような原曲の面影がほとんどないアレンジに興味を引かれるのですが、逆に原曲の持ち味を上手くヴァージョンアップさせたプラ、DEZERT 、lynch. なども面白い。あとムックの持つ歪さに一番近い雰囲気を持ってると思ったのはオーラルでした。良い意味で変なバンドですね彼ら。総じてカヴァー群からムックらしさが浮かび上がる内容。

Rating: 6.8/10



MUCC『TRIBUTE OF MUCC -縁 [en]-』トレーラー映像

iri 「life ep」

life ep

life ep

神奈川県出身のシンガーソングライターによる初のミニアルバム。


ありきたりな表現ではありますが、とても弱冠23歳とは思えない歌声。ヒップホップ/ R&B の出自を持ち、アンニュイな翳りを纏った雰囲気の中に柔らかく繊細な情感を孕んだ、ちょうどスモーキーという表現が似合うヴォーカル。今回収録されているのは5曲のみですが、いずれも彼女の持つ一番の魅力を端的に切り取っていると思います。ケンモチヒデフミ作曲による「For life」は、水曜日のカンパネラでは明後日の方向に捻れていた流麗なムードをストレートに伝えるスタイリッシュなハウスナンバー。また 5lack がラップとトラックで参加の「Telephone」は、これぞ 5lack と言えるブルーな静けさを湛えた曲調が iri の歌声にも絶妙にマッチ。その後の本人作曲による楽曲群にしても、豊かなメロディ/ハーモニーに流暢なラップスキル、アーバンかつグルーヴィに洗練されたトラックは当たり前のように最上の調和を見せ、冬の夜を一層とっぷりと深くしていく。今回はあくまで EP という尺なので全編が寒色で纏められていますが、これほどの表現力があるのだからきっと彼女はこの先様々な色味を披露してくれることでしょう。

Rating: 8.0/10



iri 「Telephone feat. 5lack」 Music Video