KAMIJO 「Sang」
- アーティスト: KAMIJO
- 出版社/メーカー: Sherow Artist Society
- 発売日: 2018/03/21
- メディア: CD
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史実上では10歳で亡くなったとされるルイ17世は、実はヴァンパイアの血を与えられて生きていた。幽閉されていたタンプル塔からベートーヴェン(実は彼もまたヴァンパイアだった!)に連れられて生き長らえたルイ17世は、死んだ人間をヴァンパイアとして蘇らせ、血を石油や電力に代わる新たなエネルギー源とする「エミグレ制度」を計画していた。サンジェルマン伯爵とともに理想世界を創り上げようと企む、彼の野望の行方は果たして…いやこれは自分のではなくて KAMIJO さんの妄想です。そもそも LAREINE のデビュー当時から彼は何事においても過剰であればあるほど良いと考えている節があって、その独自の美意識は今回でも留まるところを知らない様子。フランス語で「血」を意味するアルバム表題のイメージ、フランス革命を舞台とした KAMIJO 作の小説を下敷きとした、めくるめく壮大な世界観が展開されるシンフォニック・メタル・オペラ世界。要するにいつも通りということです。ただ今回は新たな試みとして英語詞の楽曲が多いのですが、ほぼほぼ日本語に聴こえてしまう発音のこなれてなさが悪い意味で耳に引っ掛かる…。拭い取れないB級感。
Rating: 6.4/10
Hot Snakes 「Jericho Sirens」
- アーティスト: HOT SNAKES
- 出版社/メーカー: SUBPO
- 発売日: 2018/03/16
- メディア: CD
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以前 Fugazi に興味を持ったのをきっかけに US パンク/ハードコアからポストハードコアへの流れを追ってみたいと思ったことが自分にもありまして、それこそこのバンドの前身に当たる Drive Like Jehu や Rocket from the Crypt など、自分なりに枝葉を伸ばして色々聴き進めておったのですが、今回の復活作はその時に感じていた新鮮な刺激を呼び起こすのに十分なものでした。DLJ のプログレッシブ・アート・パンクとでも言うべき複雑かつ壮大なサウンドスケープとも、RFTC の ショウマンシップに満ちた痛快なパーティ・パンクロックとも違う、彼らの中のハードコアな部分のみがソリッドな形に収斂されたような内容です。まるでカミソリかヤスリかというようなザラついた切れ味の鋭さを見せるギターサウンド、巧みに変拍子を挟みながらタイトに疾走するリズム隊。印象としてはどの曲も極めてストレートなインパクトを受けるものですが、そのアグレッションの中には不協和音が醸し出す艶めかしいダークネス、また曲によってはエモ由来の青白い切迫感なども入り混じり、シンプルなようでいて一筋縄ではイケない男の妙味が詰まった10曲30分ジャスト。
Rating: 7.5/10