Bring Me the Horizon 「amo」

AMO

AMO

英国シェフィールド出身の5人組による、3年4ヶ月ぶり6作目。


12曲目「heavy metal」の歌詞中で彼らはこう宣言しています。古参のファンが今作を聴いて「こんなのヘヴィメタルじゃない!」と言うのなら、それで一向に構いませんと。昨今のロック/メタルシーンがあまりにも閉塞的、保守的すぎると彼らなりの問題意識を強く持った結果、前作「That's the Spirit」以上にシンセサウンドやシンガロングメロディを盛り込み、大胆にポップ路線へと寄せてきた今作。Grimes 参加の享楽的なトランスナンバー「nihilist blues」、スウィートな美しさを見せる R&B ポップス「mother tongue」などはその変化の最たるものだし、ヘヴィなギターもそれなりに鳴ってはいるものの、他の打ち込みと同等かそれ未満の比率。それらの楽曲から自らが先陣を切ってシーンに風穴を空けていこうという気概は十分伝わるし、ある種の必要悪であろうとするが故の痛みも重々理解していることでしょう。ただこの健康的なポップ化が本来の武器であったヘヴィネスに取って代わる魅力かと言うと個人的にはかなり首を傾げてしまうし、目的に囚われすぎてロックバンドとしての矜持まで捻じ曲げてはいないか、今の時代そこまでせねばならんのかという寂しさも。

Rating: 5.2/10



Bring Me The Horizon - medicine (Official Video)

電気グルーヴ 「30」

デビュー30周年を記念してのミニアルバム。


これまでの「20」「25」といったアニヴァーサリー企画盤では、アニヴァーサリーだっつってんのに天邪鬼なナゴム魂を発揮して聴き手を脱力ばかりさせていた彼ら。しかし今回の内容は、おおちゃんと30周年らしい記念感があるじゃないか!と逆に驚いてしまった。まあ「10周年の唄」「30周年の唄」がトホホ感全開の歌詞なのはもはや恒例行事ですが、これぞ石野卓球と言えるコシと粘りの効いたビートと、やたら耳に残る民謡のようなメロディでいつも以上の濃い味が出ています。また「Shangri-La」「富士山」「FLASHBACK DISCO」といった、過去曲の中でもターニングポイントの意味合いが強い楽曲のセルフカヴァーは、フィジカルな即効性を保ったままシャープな音像へと洗練され、今現在の彼らが30周年というタイミングでこれを出す、というところにしっかり意義を感じられる仕上がり。しかしこうして4つ打ちの楽曲を連続で聴いているとその深さを実感させられるというか、同じ BPM でもビートの質感、ベースや上モノの乗せ具合でいくらでも響き方が変わる、という実演を交えての講義を受けているような気分になる。さすがキチガイ継続30周年は伊達じゃない。

Rating: 8.0/10



電気グルーヴ 『いちご娘はひとりっ子』(Video Edit)