電気グルーヴ 「30」

デビュー30周年を記念してのミニアルバム。


これまでの「20」「25」といったアニヴァーサリー企画盤では、アニヴァーサリーだっつってんのに天邪鬼なナゴム魂を発揮して聴き手を脱力ばかりさせていた彼ら。しかし今回の内容は、おおちゃんと30周年らしい記念感があるじゃないか!と逆に驚いてしまった。まあ「10周年の唄」「30周年の唄」がトホホ感全開の歌詞なのはもはや恒例行事ですが、これぞ石野卓球と言えるコシと粘りの効いたビートと、やたら耳に残る民謡のようなメロディでいつも以上の濃い味が出ています。また「Shangri-La」「富士山」「FLASHBACK DISCO」といった、過去曲の中でもターニングポイントの意味合いが強い楽曲のセルフカヴァーは、フィジカルな即効性を保ったままシャープな音像へと洗練され、今現在の彼らが30周年というタイミングでこれを出す、というところにしっかり意義を感じられる仕上がり。しかしこうして4つ打ちの楽曲を連続で聴いているとその深さを実感させられるというか、同じ BPM でもビートの質感、ベースや上モノの乗せ具合でいくらでも響き方が変わる、という実演を交えての講義を受けているような気分になる。さすがキチガイ継続30周年は伊達じゃない。

Rating: 8.0/10



電気グルーヴ 『いちご娘はひとりっ子』(Video Edit)