MIYAVI 「NO SLEEP TILL TOKYO」

NO SLEEP TILL TOKYO(初回限定盤)(DVD付)

NO SLEEP TILL TOKYO(初回限定盤)(DVD付)

約3年ぶりとなるオリジナルフルレンス11作目。


「WHAT'S MY NAME?」でスラップ奏法を駆使した独自のギタースタイルを確立し、「MIYAVI」以降は EDM 由来のエレクトロビートを取り入れて世界を視野に入れたポップネスを追求、というところで彼の方向性が定まり、この作品では敢えて新機軸を模索するのではなく、「WHAT'S MY NAME?」以降に経てきたステップを改めて総括しています。アンセミックなコーラスが大きなインパクトを放つ「Stars」を筆頭に、主張の強いギタープレイとダンスビートが火花を散らすアッパーチューンの応酬。そのうち「Other Side」や DAOKO とコラボレートした「千客万来」ではトラップ/ヒップホップ要素も取り入れていたりで、相変わらず彼の目線がワールドワイドに向けられているのがよく分かります。ただこれまで暑苦しいくらいに自我を強く打ち出していたこれまでの作品に比べると、今作は曲中におけるギターサウンドのバランスや10曲35分という構成含めて、良くも悪くも収まりが良く、彼のカタログの中では随分とライトな印象。個人的に彼の場合はあまり全体のバランスなどを考えすぎず、ガツガツと過剰に向かった方が良いように思うのだけど。

Rating: 6.3/10



MIYAVI「Under The Same Sky」Music Video

the HIATUS 「Our Secret Spot」

Our Secret Spot

Our Secret Spot

3年ぶりとなる6作目。


存在が肥大化し過ぎた ELLEGARDEN 、それよりもっとフットワークの軽いスタンスで活動する MONOEYES 、そしてこの the HIATUS 。3つの名義が同時進行となった現在において、細美武士の中ではそれぞれのバンドの役割がより明確になってきたのかなという感があります。この新譜ではパンクロック由来の荒さや激しさがいよいよ後退し、ギターよりもピアノやエレクトロニクスの比重が遥かに上。リード曲「Regrets」を筆頭に R&B ポップの感触もそこかしこに見られたりで、至ってクールで艶やかな、ある意味現行のメインストリームへの対応とも受け取れる仕上がり。パンクからの脱却という試み自体は以前の作品から継続して行われていましたが、今作ではそれがさらに徹底されています。ただいずれの楽曲も一貫して内省的でメランコリックな翳りを帯びたものでありながら、明朗なメロディとなだらかに広がるスケール感を持った曲展開により、アリーナ規模にも似合う普遍的な魅力を備えてる、その辺に彼ららしさが絶妙に滲み出ている気がする。個人的な好みからは外れるのですが、エルレが太陽ならこちらは月といった具合に、燻し銀の魅力があると思います。

Rating: 6.4/10



the HIATUS - Regrets(Music Video)