Efterklang 「Altid Sammen」

Altid Sammen [輸入盤CD] (4AD0172CD)

Altid Sammen [輸入盤CD] (4AD0172CD)

コペンハーゲン出身の3人組による、7年ぶり5作目。


過去最長のインターバルが空いての今作。その間に彼らは課外プロジェクトを立ち上げたり、クラシック/オペラ界隈のミュージシャンとコラボレートしたりと、様々な試行錯誤を経ながら次のアルバムの方向性を模索していたようです。その末に完成した今作は様々な面において野心的。歌詞は全曲がこれまでの英語ではなく母国のデンマーク語となり、サウンド的には音数や抑揚がこれまでよりも圧倒的に抑えられ、全編に静けさがピンと張りつめた作りとなっています。正直最初はかなり取っつきにくく感じる。しかし細部によくよく注意を払いながら聴くと、エレクトロニカ、ポストロック、ポストクラシカル、また環境音楽といったジャンルの要素が溶け合い、隙間の多い空間の中に様々なテクスチャーがしなやかに折り重なっているのが分かります。その余白を重んじる極めてイマジナティブで味わい深い音像と、日本語訳すれば「私たちは永遠だ」「世界が消失する」といったある種の死生観を思わせるタイトル群も相まって、音世界の奥行きはそれこそ宇宙的と言えるほどに果てしない深遠を見せる。頭が真っ白に洗われるスピリチュアル・バラード集。

Rating: 7.3/10



Efterklang - Vi er uendelig (official video)

Girl Band 「The Talkies」

The Talkies [解説・歌詞対訳 / 国内仕様輸入盤CD] (RT0065CDJP)

The Talkies [解説・歌詞対訳 / 国内仕様輸入盤CD] (RT0065CDJP)

ダブリン出身の4人組による、4年ぶり2作目。


基本路線がポストパンク、あるいはノイズロックというアヴァンギャルドな路線なのは前からでしたが、過去作は肉体的なカタルシスへと向かうための筋道の辿り方がまだ真っ当であったように、今となっては思います。それくらい今作は輪をかけて無軌道。その所以として明らかにメンバーの心身が失調状態にあるのが表現のあちこちから伺えます。自分が読み取れた箇所を列挙していくと、冒頭「Prolix」の荒い呼吸(ガチの発作らしい)、「Going Norway」でたびたび表れる Apple, penny, table のフレーズ(精神科医が症状特定のために頻用するもの)、「Shoulderblades」で登場する架空の人物 Ed Mordake(解離性同一症の象徴?)、「Akineton」というそのままズバリな曲名(パーキンソン病治療薬)。それら病的なモチーフに加え、ヴォーカルはのた打ち回るようにしてヒステリックな叫びを繰り返し、演奏はジャンクな音の塊を反響させて無闇に神経を逆撫でる。自身の不安定な状態をまるで隠そうとせず、むしろ逆手にとって攻撃性へ転化しているかのような楽曲群。露悪的とも言える音の垂れ流しがギリギリの所でスリリングな快楽と結びつく、今年イチの怪盤です。

Rating: 8.2/10



Girl Band - Going Norway (Official Video)