LUNA SEA 「CROSS」

CROSS(初回限定盤A)(DVD付)

CROSS(初回限定盤A)(DVD付)

2年ぶりとなる10作目。


バンドにとって初の外部プロデューサーとして Steve Lillywhite を招いて制作された今作。彼の代表的な仕事と言えば…ということで事前に U2 の初期作品を頭に入れてから臨みまして、そのため余計に先入観が生まれているかもしれませんが、サウンド面においては思った以上の U2 感が注入されており、しかもそれがバンド本来の魅力と綺麗に合致していることに驚きました。ギターサウンドは研ぎ澄まされた鋭さと残響音の奥行きがバランス良く同居した鳴りで、リズム隊もアグレッシブな音圧を保ちつつ、楽曲のスケール感を底上げするように上モノへと寄り添う。これまでは逞しくビルドアップされた音像で、各パートの我の強さが拮抗して火花を散らしているような状態に見えていたのが、ここではその音どうしの境界線が幾らか融和して、アンサンブル全体になだらかな拡がりが生まれているように感じます。この風通しの良さと重厚さが両立された音世界は、ちょうど U2 が目指した地平とかなり近似したものではなかろうかと。随所で目立つ優美なストリングスアレンジもそういった印象に拍車を掛けるし、ここに来て新たな美しさを打ち立てた力作だと思います。

Rating: 8.2/10



LUNA SEA「宇宙の詩~Higher and Higher~ -Live Version-」MV

minus(-) 「C」

【メーカー特典あり】 C(CD)(ステッカー付)

【メーカー特典あり】 C(CD)(ステッカー付)

  • アーティスト:minus(-)
  • 発売日: 2019/12/11
  • メディア: CD
藤井麻輝によるソロユニットの、EP としては2年3ヶ月ぶり4作目。


全曲の作詞とヴォーカルで石川智晶がゲスト参加しているのが今作の大きな特徴。彼女のエキゾチックな歌声や独特の言語感覚からは、ほとんど自動的に梶浦由記の作風も想起させられるのですが、ともかく彼女らに共通する厳かで幻想的な世界観は、藤井麻輝の錬成するインダストリアルサウンドとは正しく鬼に金棒の相性です。徹底して BPM はスロウ、ビートは圧が強く無機質、漂う空気はダークな緊張感で引き締められ、その中を優雅に舞い踊るように歌う石川智晶はもはやシャーマニックな凄みすら発してる。ただこれが minus(-)藤井麻輝のキャリアの中で異彩を放つコラボレーションかと言うと決してそうでもなく、むしろこれまでの延長線上、従来の作風をより高い純度にまで煮詰めるための、必然的な出会いだったのだろうと思います。と言うのも、彼が以前立ち上げていたユニット・睡蓮においても、彼が作るトラックと芍薬のヴォーカルの関係性は、今作とほとんど同じ図式に見えるからです。おそらく藤井麻輝の中には、自分が作る歌モノの理想像がかなり具体的に存在していて、これまでと同様に今作も、その理想に向かうための鍛錬の一環なのだろうなと。

Rating: 7.3/10



minus(-) / 「C」Official Trailer