Develop One's Faculties 「INVERSE REVERSE」

INVERSE ЯEVERSE (通常盤)

INVERSE ЯEVERSE (通常盤)

2014年結成の4人組による、約2年ぶり3作目。


気炎を吐きまくっています。他所のバンドと同じカテゴリーに括られることを徹底的に忌避すべしと、ある種の使命感を背負っているかのような。ジャズあるいはブルース風のコード進行を多用しながら、異様にきめ細やかな手数を駆使して迫る演奏陣。もはやプログレかマスロックかという勢いで超絶技巧プレイが大放出されているわけですが、それが小難しい実験性よりも至ってカラフルなポップ感に結び付いているのは、もしかすると wowaka 以降のボーカロイド文化が根差しているからなのかも。そしてヴォーカルも負けじとばかりに言葉数を詰め込み、積もり積もった不平不満を極めてストレートに捲し立ててくる。これに加えて昔のオサレ系文化の名残のようなギミックも随所に見られたりで、ローラーコースターのごときスピード感がますます目まぐるしいものとなり、口角泡を飛ばす勢いも弥増すばかり。まあ過剰に過剰を上重ねしすぎでさすがに聴き疲れを起こすし、押し引きのバランス感覚は欠けてると思う。ただ彼らはきっとそんなことは百も承知なのでしょう。何者とも混じり合わない道を突き進む、その姿は確かに V-ROCK としての道義を通すもの。

Rating: 6.5/10



Develop One's Faculties「青と空」MV

lynch. 「ULTIMA」

ULTIMA【初回限定盤】

ULTIMA【初回限定盤】

  • アーティスト:lynch.
  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: CD
名古屋出身の5人組による、1年8ヶ月ぶり10作目。


V-ROCK 由来の耽美かつシリアスなメロディが気持ちぶん多めかなとか、シンガロングコーラスがいかにもデカ箱に映えそうな作りで相変わらず野心家だなとか、その一方で低音グロウルも積極的に導入したりで激しさも衰えてないなとか、気付く点はそれなりにあります。ただそれらを総合した時には結局、安心安定いつもの lynch. 印だなという。そもそも彼らはV系シーン内でこの手のメタルコアサウンドに先鞭を付けたバンドのひとつだったし、この路線を突き詰めることこそが彼らにとっての最大のポリシーなのでしょう。ただそれにしても、鳴らす音の圧の強さに反比例して、内容はどうも薄く感じてしまう。彼らの場合、作品毎に細部のマイナーチェンジはあっても基本の作曲フォーマットはほぼ変化が無く、そのマンネリ感が作品によって心地良かったり退屈だったりするのですが…何となく疑問なのは、彼らはアルバム全体のテーマを具体的に定めることをしないまま、いつもの手癖で作った楽曲がある程度の水準にまで達すれば出す、その繰り返しに終始しているような気がするんですね。果たしてこの状態のままで次の10年を乗り越えられるのか?なんて不安も。

Rating: 5.9/10



XERO / lynch.