Tara Jane O'Neil 「A Ways Away」

Ways Away

Ways Away

シカゴ出身、画家としても活動するシンガーソングライターの新作。初めて聴きました。


基本はエレキ/アコギ弾き語りによる内省的なフォークソングがメイン。その柔らかな歌声とメロディはシンプル故に深く熟成された味がじっくり沁み渡っていて、地味ながらも確実に心の隙間に入り込み、涙腺を緩ませてくれます。耳馴染みの良い暖かさ (あるいは切なさ) が醸し出す繊細な包容力といいますか、そういったフォーク/カントリーならではの素朴な魅力が実に心地良く響いてくる。中でもアンニュイな物悲しさが際立った 「Howl」 は特にお気に入り。しかし後半 「Pearl Into Sand」 以降に入ると音響処理を駆使した実験性が前面に押し出され、歌声もその音響空間を構成するパーツの一部と化し、よりディープな音世界を繰り広げています。ラストの 「The Drowning Electric」 なんてドローン系かと思うほどダークなギターノイズを充満させていたりもするのですが、そういった実験要素が決して頭でっかちに映ることはなく、本来のメロウな味わいをさらに引き立てる、もしくは違った側面から描くものとして導入されてるので、前半の穏やかな歌モノからの流れですんなりと入り込める。秋や冬に聴くとさらに浸れそうな好盤。


Rating: 8.2/10
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