AUFGANG 「AUFGANG」

アウフガング

アウフガング

フランス出身のスリーピースによるデビュー作。


ピアニスト2人にドラマー1人という一風変わった編成から mouse on the keys を連想するのですけども、向こうがジャズとポストロックの融合だったのに対し、こちらはクラシックとテクノ/エレクトロニカの融合。高度なテクニックで鳴らされるグランドピアノは勇壮かつ流麗な響きを持ち、開放的なシンセ類の音色や、研ぎ澄まされたビートと入り混じる。クラシック要素の嫌味っぽさは除去された上でテクノ要素に組み込まれ、なおかつピアノ演奏の豊かな表現力、強い主張は決して損なわれていないというバランス感覚が絶妙。実験的な構成の中で狂気的に打ち鳴らされるピアノの激しさが印象的な 「Channel 8」 、タイトル通りバロック音階が荘厳な世界観を演出する 「Barock」 、徐々に熱を膨らませて放射する4つ打ちダンスチューン 「Sonar」 など、楽曲の趣向もヴァラエティに富んでいます。ピアノがフィーチャーされたテクノ作品というのは以前にも多くあったかもしれませんが、彼らの場合は根っこにクラシックの DNA がある所がミソですね。クラシックとテクノ、双方の持つ様々なスタイルを自在に組み合わせ、ピアノという楽器の持つポテンシャルをフル活用した楽曲群。


Rating: 8.0/10
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