LILLIES AND REMAINS 「MERU」
- アーティスト: Lillies and Remains
- 出版社/メーカー: Fifty One Records
- 発売日: 2010/06/16
- メディア: CD
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アナクロニズム美学。バンド名が Bauhaus の引用であることからも明らかですが、80年代ゴシック/ポジティブ・パンクからの影響を大きく受けたサウンド。ただゴシックと言っても黒魔術的なドロドロしたムードはなく、低熱なままでひた走るその音はアーバンな洗練を受けており、純粋にロック的な格好良さも強いです。ドライで殺伐としたギターサウンドと直線的グルーヴ、あえて抑揚を殺したヴォーカルがクールな毒気を醸し出しつつ、時には光が差し込むようなポップさも不意に見せる。聴きようによっては初期 BUCK-TICK (下手したら BOØWY) との共通点もあるけれど、ニューウェーブ/ポストパンク、あるいは海外インディロックに対する強い意識を音の端々から感じ取れるのが所謂ヴィジュアル系との違いですね。なおかつこの新作ではシンセを効果的に導入することで、従来のイメージを崩すことなくカラフルな広がりが生まれ、より馴染みやすい仕上がりになっています。特に2部構成の 「TARA」 で見せる幻想的な深みなどは彼らにとっての新境地かと。この進化をさらに突き詰めるとしたら、次のフルレンスはかなり面白くなりそうな予感。