Boris 「Attention Please」 「Heavy Rocks」

Attention Please

Attention Please

2枚同時リリースとなったオリジナルフルレンス16作目。


まずコンセプトとして、先日の 「New Album」 は今作2枚から数曲ずつ選曲しリアレンジした作品であるということ。ボリスとして全く異端であった魔改造ポップ作品の元ネタのひとつがこちら。全曲において女性メンバーの Wata がヴォーカルを執り、ヘヴィネスを脱ぎ捨ててエレクトロ・ドリームポップに邁進した、やはり従来のボリスのイメージを覆す内容。しかし 「New Album」 が意図的なセルアウト感覚でライトかつアッパーな感覚があったのに対し、このアルバムは内省的なダークネスを孕み、二度と戻れない昏睡の淵へと落ちるある種の毒があるように思います。 Wata のか細いウィスパーヴォイスは可愛らしさの裏に少しばかりコケティッシュな刺激も混ざり、陶酔度の高い 「あなたに」 「手をつないでる」 、実験的なコラージュによる 「黒っぽいギター」 などではその魔性が特に強く引き出されてる。ただ 「希望 -Hope-」 や 「Party Boy」 といった 「New Album」 収録曲に関してはそれほど大きな差異を感じず、その辺はコンセプトの打ち出し方が甘くないか?と。それでも今作が彼らの節操ないレンジの広さを示す怪作なのは確かですが。


Rating: 7.6/10



Heavy Rocks 2011

Heavy Rocks 2011

そしてこちらが2枚同時発売のもう一枚。


2002年にも同名のアルバムがありましたが、内容は全く別。タイトル通り 「Attention Please」 とは対照的にヘヴィネスを意識したアルバムということになりますが、単なる HR/HM あるいはドローン/ストーナーというわけではないです。例えば 「Leak -本当の反対の反対の反対の反対-」 ではラウドな演奏の中にブルージーな切なさを忍ばせたり、 「Missing Pieces」 はドローンというよりポストロックな抒情性を湛えたリリカルな轟音だったり、その一方でブルータルなロックンロールナンバー 「GALAXIANS」 「Window Shopping」 といった曲もある。この1枚の中での振り幅は、これ一枚で捉えれば悪くはないけど、やはりヘヴィロックスというコンセプトの打ち出し方としては若干煮え切らなさを感じる。というか今回の一連の作品はどのアルバムにも大なり小なりニューウェーブ的な意匠が施されていて、それがこのアルバムではあまり良い方向に作用してない気がします。ヘヴィであることにかけてはむしろ過去の作品の方が徹底してたと思う。結局これら3枚のうち俺が一番好きなのはと言うと 「New Album」 になってしまう、ってのもどうなんでしょうね。


Rating: 6.8/10


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