amber gris 「night walking toy soldiers.」 @ 心斎橋FANJ twice


ヴィジュアル系の在るべき姿のひとつじゃないかと思った。



先日のフルレンス 「pomander」 が個人的大ヒットだったヴィジュの若手ホープ amber gris 。今回はバンドにとって初のワンマンツアー、その初日となる大阪公演でございます。会場の FANJ twice は入ったの初めてでした。そういやミナミホイールでも来たことなかったな。キャパ約350。フロアが地下にあり、天井とステージが高く作られていて演者が映える作り。三角公園付近はライブハウスがズラズラ立ち並んでるけど、スクエアでシンプルな作りの DROP や掘っ建て小屋 (笑) みたいな KING COBRA とはまた違った感じ。構造的にはこの twice が一番好きかもしれん。客は8割方埋まってて、思ったよりは男が多かった印象。


定刻を少し過ぎた頃に幕が開き、時を刻む秒針の音が SE で流れる。メンバーひとりひとりがステージ中央に置かれた楽器を手に取り、 「element of soul」 からスタート。緊張感がピンと張りつめたムードの中、ダークで淫靡なサウンドを展開し、そのまま 「Room No.13」 へ。バンドの表現力、力量をアピールするかのようにその空気をさらに重く、深くしていく。客はその流れの中で目を見張るように、幾分か緊張してたように思いますが、演奏陣は固くなりすぎることはなく、重々しさの中にも何処かしなやかなタッチを見せる。


今回のライブで彼らの楽曲について感じたのは、方向性を絞り、焦点を合わせた中でのレンジの広さ、多彩さでした。前述のダークな楽曲がありつつ、 「Million Dead Baby Songs」 のような童話にも似た軽やかでファンタジックな曲があり、 「H u m m i n g b a r d ' s」 「lizard skin.」 といったアッパーで攻撃的なライブ向けナンバーがあり、 「feel me」 「浴室の人魚」 などの普遍的と言っていい牧歌的な美メロ曲がある。新曲と過去曲を織り交ぜてスムーズな流れを作り、新人バンドとは思えない巧みな技量で安定感のある演奏を聴かせてくれました。あとやはりヴィジュバンドの良い所として、 PV 撮影かっていうくらい挙動がキレ良く派手なのだよな。ロックバンドは格好つけてナンボ。各メンバーがバランス良く前に出ては引くという連携の上手さも目立った。このバンドはフォーメーションとして綺麗な五角形を描いてると思う。そして本編ラストに披露された (トラブル発生により急遽変更されたという) 「銀色のコフィン」 は、彼らには珍しく枯れた渋味のあるコード進行が印象的な、少し deadman を彷彿とさせる秀曲でした。


あまり曲間を空けずにテンポ良く進行したためか、本編終了まであっという間のように感じた。アンコールでは少々ラフな雰囲気で和ませつつ、 「in sickness and in health...」 「wishstar and sunlight and darkness」 と披露。 「in sickness 〜」 はシンセだと思っていた音もギターで再現してたのに少し驚いた。そして 「wishstar 〜」 、これは本当に名曲だと思う。幻想的なムードと心地良い疾走感、サビに向かうまでの高揚と胸を打つ切なさ、様々な要素が合致した 「pomander」 の中でも特別なハイライト。一番最後に回すなんて憎いじゃないですか。


音源が完成度の高い構築性を持っていただけに、ライブはどうなるか期待と不安半々といった面持ちでしたが、結果的には杞憂でした。演奏力とステージングで十分に惹きつけられる本当の意味でポテンシャルの高いバンドだということが確認できただけでも、今回のライブは成功でしょう。彼らはもっとメジャーになってシーンを引っ張るくらいの存在になるべきだ。大袈裟じゃなく、素朴にそう思う。


あやふやなセットリスト↓
1. element of soul
2. Room No.13
3. Million Dead Baby Song
4. Amazing World
5. feel me
6. 悲しみ暮れる黄金丘陵
7. 海風と雨と最後の手紙
8. over flow girl's sick
9. sinker
10. Awake or asleep
11. H a m m i n g b a r d' s
12. lizard skin.
13. 浴室の人魚
14. ファラウェイ、ファラウェイ。
15. hazy moon luv gaze.
16. snoozy and roll
17. 銀色のコフィン
(アンコール)
18. in sickness and in health...
19. Love in the first.
(アンコール2)
20. wishstar and sunlight and darkness