Julia Holter 「Loud City Song」

Loud City Song

Loud City Song

カリフォルニア出身のシンガーソングライターによる、1年半ぶり3作目。


前作 「Ekstasis」 はドローン/ノイズ/アンビエントの影響が色濃いシンセサウンドやあどけない歌声のハーモニーが、教会の聖歌にも似た残響音の強調によって幽玄なムードを醸し出す、ゴシック/ニューウェーブ・ポップの突然変異といった作風でした。全編がミステリアスで優雅な雰囲気に統一されていたのに対し、今作は打って変わって様々なタイプの楽曲が並べられています。ひどく繊細な歌声が重ねられ、茫洋とした寂寥に包まれる 「World」 はすぐさま Stina Nordenstam を連想したし、文字通りホーンの響きが別種の荘厳さを見せる 「Horns Surrounding Me」 、ジャズ/ボッサ風の軽やかさが印象的な 「In the Green Wild」 と生音の演奏を基調とした楽曲があれば、深い霧のようなドローンシンセに包まれる 「Hello Stranger」 のような前衛的な音響曲もあったり。まるでひとつの映画のように楽曲毎に場面が切り替わるレンジの広さ。個人的には楽曲によってのめり込めたりそうでなかったり、全体的に粒が揃っていないように感じたのですが、インターバル1年の短さで奔放な変化を遂げようとする姿勢は好印象です。

Rating: 7.1/10