YBO² 「ALIENATION」

ALIENATION

ALIENATION

北村昌士を中心とする3人組の、1986年に発表された初フルレンスの再発盤。


突如トランスレコードの名盤が一挙再発されだしました。自分にとっては未だにパンドラの箱のように好奇心を掻き立てられる80年代アンダーグラウンドの果てしなき闇、その一端にトランスレコードという圧巻の魔窟を構えていた北村昌士。自分は10代の頃に FOOL'S MATE を読み漁っていたのもあって (彼が編集長の時代ではありませんでしたが) 、彼には勝手にある種の愛着、畏敬の念を感じずにはいられません。この作品では北村、 KK NULL吉田達也という豪傑が揃い、 King Crimson の爆裂テクニカルプレイにノイズ/インダストリアルの冷徹かつ猥雑な攻撃性も突っ込み、デビュー作にしてすでに臨界点を突破してしまっています。 「猟奇歌」 での読経めいたオカルティックな歌声に不可解なサウンドコラージュ、 「BOYS OF BEDLAM」 のメロトロンが醸し出す重苦しい葬送ムード、 「HEAVY WATERS」 の混沌そのものを体現した怒涛のセッション等々、初期衝動の一言だけでは片付けきれないブッ飛んだアイディアが鬼の狂気とともに盛り沢山。表現の深層へと迫る真にハードコアな内容は、最近のノイズロックに慣れた耳にも新鮮な傷をつけることでしょう。

Rating: 9.0/10