テンテンコ「工業製品」

工業製品

工業製品

元 BiS メンバーによる、メジャーデビュー作となる初のミニアルバム。


自分がアイドルシーンにコミット出来ない理由のひとつとして、提供曲とアイドル自身のパーソナリティに必然的な繋がりがないと、いくらビッグネームが作品に名を連ねていても違和感しか感じなくて、ただ与えられた曲を凡庸な歌唱力で歌うだけのアイドルには魅力を感じないのですね。その点で言えばテンテンコさんは正しく現代のアイドルシーンにおけるリーサルウェポン。エレクトロニカ、ノイズ/インダストリアル、または古き良きニューウェーブの特にアクの強い部分を貪欲に吸収し、非常に感度の高いアンテナを備えた彼女の下に EYE や Illicit Tsuboi が集まるのは非常に理に適っています。元々戸川純が好きだというその素養も、パンチの効いたアルバム表題や作詞、アートワークの背後からもうっすら透けて見える。脳ミソを破壊しにかかるフリーキーなビートが強烈な「くるま」、確信犯的なチープさが現在とは違った未来を幻視させるシンセポップ「放課後シンパシー」、やはり絶妙な80年代感ながらも歌詞の内容にヒヤリとさせられる「Good bye, Good girl.」など、サブカルチャーの良心が結晶化したような7曲。ここから彼女はどんな旅路を選ぶのか。

Rating: 8.3/10



テンテンコ / 次郎