KREVA「嘘と煩悩」

4年ぶりとなる7作目。


嘘が800、煩悩が108、足して908(クレバ)。思わせぶりな表題だけど要するにセルフタイトル。よくこんなうまいこと思いつくな。長いインターバルを置いた割には11曲45分と、過去の作品よりもコンパクトな収まり。しかし内容はこれまでに打ち出してきた KREVA らしさを改めて纏め直してドリップしたような、サラリとしつつもパンチの効いた内容になっています。聴いていて痛感させられるのは彼のバランス感覚の良さ。トラップ基調の曲を揃えて最近の流行も取り入れつつ、心地良いアタックのリズムにスウィートなメロウ感を忘れず、早口になっても言葉をしっかりと聴かせ、硬い押韻をスパッとキメてラップ主導で引っ張っていく。ヒップホップに留まらずにポップシーンの第一線を張りながら、芯にあるヒップホップ要素は決して薄れていないのですね。少しばかりフリーキーで挑戦的だったり、真っ当に切ない美メロを聴かせたりといった振り幅がなだらかに繋がれ、楽曲の粒も綺麗に揃えられたトータリティのある良作です。あと増田有華をフィーチャーしてスタイリッシュな R&B ポップに仕上げた「Sanzan」には驚かされた。この辺のアンテナの鋭さも流石。

Rating: 8.0/10



KREVA - 908秒で分かる「煩悩盤」