Tara Jane O'Neil「Tara Jane O'Neil」

Tara Jane O'Neil

Tara Jane O'Neil

シカゴ出身のシンガーソングライターによる、約3年ぶり8作目。


前作にあたる「Where Shine New Lights」はフォーク/カントリーを基調としながらも、アブストラクトな音響効果によりサイケ/ドローン要素を色濃く打ち出すという、サウンドプロダクションに重きを置いた内容でした。対する今作は初のセルフタイトルということで、彼女のコアに在るフォーク部分のみを曝け出した、ある意味真っ当に SSW らしい作品となっています。音の端々にサイケデリックな質感は残されてはいるのですが、必要以上に輪郭をぼやけさせることはせずに、爪弾かれるギターの簡素な響きと彼女の穏やかな歌声、そういった楽曲の主要素のみがナチュラルな形で浮かび上がっています。ちょうど鈍い陽の光に包まれたジャケット写真が示すように、ノスタルジックで暖かく、何処か寂しげで物悲しくもあるような、シンプルな中に様々な感情の色味が詰まった、味わい深い楽曲の数々。1曲目「Flutter」で彼女の瑞々しいヴォーカルが差し込まれた瞬間には意識をハッと惹きつけられるし、「Joshua」なんかは静かな地平線を眺めるような音の広がりに思わず陶然としてしまう。長い旅を続けて辿り着いた果てがこの作品だと思うと感慨深いものがありますね。

Rating: 8.1/10


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