The Body 「I Have Fought Against It, But I Can't Any Longer.」

US 出身の2人組による、単独作としては2年2ヶ月ぶり6作目。


これまでも聖歌隊やエレクトロニクスを取り入れるなど、手を変え品を変えでメタルの未知の領域を模索し続けてきた彼ら。その飽くなき探求心はこの作品でいよいよピークを迎えつつあるのかもしれません。これまでの彼らの一番のトレードマークであった薄汚いヘヴィギターは随分と鳴りを潜め、種々のクラシカルな管弦楽器、緊張感を煽るドローンノイズ、インダストリアル由来の硬質なビート、そして優美な歌声から壮絶なデスヴォイスへと様相を変える女性ヴォーカルをフィーチャー。まるでディストピア世界を描いた SF 映画のサウンドトラックのような、温度を感じさせない重厚かつ荒涼とした世界観が延々と続き、物理的な音圧もさることながら音全体から醸し出される空気感の重さに押し潰されそうになる。過去の作品で行われてきた実験の数々を経験として活かし、脇目も振らずに自身の目指す方向性を突き詰めていった彼らの、その最果ての地点においてはもはやメタルの枠組みがすっかり捻じ曲げられており、元々異形だったものがまだここまで異形となれるかという感慨深さすらあります。悪意と失望が織り成す10曲49分。

Rating: 8.2/10