Kanye West 「ye」

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2年4ヶ月ぶりとなる8作目。


カニエの諸作を聴いていて常々思うのは、まあ何とも泥臭いということ。強烈な言動がゴシップとなっていちいち世界中を賑わせたりと、一体何を考えているのか凡人にはよく分からんパーソナリティをお持ちの彼。そんな彼が作る楽曲は、自身の経験や思想を投影した歌詞はもちろんのこと、カオティックとも言えるほどの多様なアイディアが詰め込まれたサウンドにも彼という破天荒なキャラクターがダイレクトに反映されているようで、そのダイナミックなエンターテインメント性とは裏腹に妙な人間臭さを感じるのですね。それでこの新作、これまでの大作志向から一転してわずか7曲23分。ただ尺は短くともその中にカニエらしさは十分表れていると思います。希死念慮の中で足掻く様を生々しく伝える「I Thought About Killing You」を筆頭に、前半では彼の内なる闇が緊張感を持って描かれますが、「Wouldn't Leave」からは対照的にスウィートな雰囲気を纏い、柔らかく繊細な表現へとシフト。このあからさまな二面性、そしてジャケに載せられた「双極性障害はクソだ」の一文。まるで作品自体が自らに向けた精神的リハビリのような。

Rating: 7.2/10