清春 「Covers」
- アーティスト: 清春
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2019/09/04
- メディア: CD
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思えば黒夢としてデビューした時点で、清春の歌唱スタイルはほとんど完成されていました。音楽性の変遷はあってもヴォーカルにおけるスタンスには全くと言っていいほどブレが無く、その個性の強さゆえにもはやどんな曲を歌っても「清春」にしか成り得ない。それは彼自身の曲はもちろん、彼が手掛けたカヴァー曲の全てに対しても言えること。自分が初めて彼のカヴァー仕事を聴いたのは hide「Beauty & Stupid」でしたが、その頃から彼は他人の楽曲を自分の色に塗り替える技量、また選曲における嗅覚にも秀でていました。この作品ではそんな彼のセンスが思うさま発揮されてるというわけです。そもそも一番のルーツに昭和時代の歌謡曲が存在し、これまでにも沢田研二や布施明などをカヴァーした経歴もあるだけに、井上陽水や中島みゆきなどはもう勝手知ったるという仕上がり。普段に輪をかけて粘っこく濃厚、そこにハスキーな渋味も加わった歌声がどっぷりと哀愁を深める。またいきものがかりやドリカムは初聴きの時こそ笑ってしまったけれど、無駄を削いだブルージーなアレンジで悲哀の色味が濃く、やはり聴き応えは十分。歌い手としての実力を痛感します。
Rating: 7.4/10