The Damned 「Evil Spirits」

EVIL SPIRITS

EVIL SPIRITS

9年半ぶりとなる11作目。


昨年の話になりますが、サウンドトラックが音楽ファンの間でも話題になっていた映画「ベイビー・ドライバー」を自分も見まして、そこでの強盗シーンで使われていた The Damned「Neat Neat Neat」があまりにも絵面にハマり過ぎていて笑ってしまったことがあって、やっぱり地獄に落ちた野郎どもは最高やな!ってなりましたよね。ただ彼らはもちろん「Neat Neat Neat」に代表されるロンドンパンクのオリジネイターのひとつでありつつ、80年代に入ってからはゴシックホラーの世界観に身を投じてパンクの新たな可能性を模索していたわけで、この久しぶりの新作でも彼らはそのゴス路線を踏襲しています。冒頭を飾る「Standing on the Edge of Tomorrow」からして掴みはバッチリ。ダークな中に淫靡さを匂わせるムード、シアトリカルな装飾にシンガロングパートも盛り込み、御年60を過ぎた Dave Vanian の苦み走った歌声がまたゴス調に深みを与える。さらにはプロデューサーが往年の T.RexDavid Bowie の名作を手掛けてきた Tony Visconti 。ゴスとパンクとグラムの夢のコラボときたもんだ。タイトに纏まった10曲43分にはロックンロールのロマンが詰まってる。

Rating: 7.6/10



The Damned - Standing On The Edge Of Tomorrow

Creepy Nuts 「クリープ・ショー」

クリープ・ショー

クリープ・ショー

2013年結成の2人組による初フルレンス。


さすがファーストなだけあってリキの入った仕上がりです。従来の持ち味をそのままハイテンションで打ち出した「手練手管」「スポットライト」、数多く対バンをこなした盟友 SPARK!!SOUND!!SHOW!! と組んだミクスチャーパンクスタイルの「ぬえの鳴く夜は」「新・合法的トビ方ノススメ」、大阪の血が騒いだのか昭和歌謡風味で世知辛さを演出する「紙様」「俺から退屈を奪わないでくれ」と、現時点でやれることは全部やるという勢いで様々なアイディアを投入。その中でR-指定はこれまでに溜め込んでいだ鬱屈や劣等感を外向きのエナジーに変え、やや卑屈になりながらも己の技量、思想、存在を誇示するという、言わばこれまでの Creepy Nuts が見せてきたイメージを改めて再定義するような内容。自分的には期待値が少々高すぎたというか、いずれの楽曲も過去の EP 作でやってきたことの延長線上に見えるし、R-指定も歌いがちになるよりは持ち前の高度なラップスキルを活かした方が良いのではという気がする。ただ我流でヒップホップを貫きつつロックファンにもマスアピールしやすい内容で、さらに広いシーンへ打って出ようという気概は感じます。

Rating: 6.9/10



Creepy Nuts / ぬえの鳴く夜は【MV】