Vein 「Errorzone」

Errorzone

Errorzone

米国ボストン出身の5人組によるデビュー作。


その情報量の多さにすっかり圧倒されてしまった。基本の音楽性となるのはマスコア/プログレッシブ・メタルコアで、もちろん単純に全パートの異様な手数の多さというのもあるのですが、楽曲を聴いている間に様々な先人バンドの影が物凄い速さで駆け抜けていく、バックボーンの豊富さという意味でも密度があまりに濃い。ボストン出身ハードコアということでまず思い浮かぶのは同郷の Converge 、あるいは The Dillinger Escape PlanSikth などに通じる変態的な曲構成が第一のインパクト。それとほぼ平行する形で鼓膜に突き刺さるのが、SlipknotKorn など所謂ニューメタルを彷彿とさせる、グルーヴィに洗練されたヘヴィネス。元々 Slipknot なんかはデスメタルグラインドコアなどのアングラ要素をキャッチーに仕立て、ニューメタルとしてヒットチャートに持ち込むことに成功していたわけですが、それが時代の一周回った頃にまたアングラ界隈で有効な攻撃性となっているというのが、ニューメタル世代としては愉快と言うか何と言うか。ともかく前述のバンドの音楽性全てが同列で一曲の中に詰め込まれ、怒涛の勢いで雪崩れ込む、その力業は圧巻と言う他ない。

Rating: 8.2/10



Vein - Virus://Vibrance (Official Music Video)

GØGGS 「Pre Strike Sweep」

Pre Strike Sweep

Pre Strike Sweep

Ty Segall を中心とする4人組の、2年2ヶ月ぶり2作目。


前回エントリの「Fudge Sandwich」と順番が前後してしまいましたが、これが Ty Segall にとっての今年4作目。そのバンドメイトというのが、以前 Ty がプロデュースを務めた Ex-Cult のメンバーだったり、Ty がドラマーとして参加しているバンド Fuzz からも招聘してたり、言ってみれば全員が身内。気心知れたメンツ揃いによる今作は、Ty Segall ソロ名義の作品よりも牧歌的なフォーク感、またはローファイなサイケ感が大幅に払拭され、ゴリッと厚みの増した爆裂ガレージ・ロックンロールの応酬となっています。70年代から80年代にかけてのハードコア・パンク勃興期ならではのソリッド感、場面によってはそこに初期ハードロックの土臭いダイナミズムも加味されているでしょうか、とにかくそれらの暴力的な熱気を今なお再燃させようと試みる、野蛮なディストーションストロークが痛快なことこの上ない。演奏者が増えただけ単純にパワフルさが増しているということですが、名義が何であろうと Ty Segall の思いはきっとひとつ、ロックはロック本来の形のままで光るべき。その光を絶やさないための信念を彼は音に込め続けているのだと思います。ロックンロール万歳。

Rating: 7.8/10



GØGGS - Pre Strike Sweep