Mono 「Nowhere Now Here」

Nowhere Now Here

Nowhere Now Here

1999年結成の4人組による、2年3ヶ月ぶり10作目。


結成以来初のメンバーチェンジとなったドラマーの脱退、それだけでなくマネジメント関係でもトラブルに見舞われ、一時は解散寸前のところまで追い詰められていたという彼ら。そういった制作時の状況が反映されてか、今作はいつも以上に色味が少なく、ギターの轟音の険しさが強調されているように思います。例えば「Hymn to the Immortal Wind」や「For My Parents」辺りの過去作では、オーケストレーションを大々的に取り入れてドラマチックな悲愴感を展開し、そこにはヘヴィなエモーションの発露がありつつも、弦楽器ならではの柔らかな美しさが全体をヴェールのように覆っていました。今作でも弦楽隊は多数参加してはいるのですが、それらがここで見せているのは悲しみや憂いといったナイーブな心情よりも、もっと反骨精神に満ちた、闘志にも似た怒り。彼らの作品ではお馴染み Steve Albini ならではの生々しさを第一義としたプロダクションに加え、新ドラマー Dahm の一打一打を硬くシャープに鳴らすプレイも、そういった攻撃的な印象に拍車を掛けているかもしれません。典型的ポストロックという構成自体は相変わらずですが、その凄味は新たなピーク値。

Rating: 6.4/10



MONO - Breathe (Official Music Video)

Weezer 「Weezer」

Weezer (Teal Album)

Weezer (Teal Album)

初のカヴァーアルバム。


一応事の経緯を書いておくと、@weezerafrica なる Twitter ユーザー(14歳の少女らしい)がどうしても WeezerToto「Africa」をカヴァーしてほしい!という旨を公式アカウントに何ヶ月もリプライし続けた結果、Weezer が要望に応えて本当にカヴァーを発表し、そしたらそれが2008年の「Pork and Beans」以来のシングルヒットになったもんだから、じゃあこの流れでアルバムも出してしまおうか、ということでサプライズリリースされたのが今作という次第。仮にも20年以上のキャリアを持つベテランにも拘らず、何ともフランクにファンとの交流を楽しんでしまうという、この夢のあるエピソードはいかにも彼ららしいじゃないかとほっこりしましたよね。それで今作の内容ですが、笑ってしまうくらい有名曲だらけ、そして笑ってしまうくらい原曲に忠実で本当に笑いしか生まれなかった。たまにラウドなギター挟んでるくらいで構成自体には全く手を付けず、特にシンセ類の再現度とか完全に狙ってるやろという感じで逆に凄い。まあ点数つけるとしたらこんなもんですが、Weezer というバンドの愛らしさが端的に表れている作品だとは思います。

Rating: 4.0/10



Weezer - Africa (starring Weird Al Yankovic)