ARCADE FIRE 「THE SUBURBS」

The Suburbs

The Suburbs

モントリオール出身の大所帯バンドによる、約3年半ぶり3作目。


憑き物が落ちたように軽くなった。前作 「Neon Bible」 がゴシック/ダークな重厚さ、不穏な緊張感を纏った作品だったのに対し、今回はストレートなインディロック/ポップスとして垢抜け、洗練されたような印象を受けます。 「郊外」 というキーワードを軸に据えたコンセプチュアルな内容ですが、音的には以前ほど壮大なスケール感や決意に満ちた力強さを感じさせるわけではなく、風通しの良い良質なポップ曲が整頓/陳列されてるといった印象。ただ単なるセルアウトでは決してなく、彼ららしいトラッド楽団風の牧歌的なムードと仄かに翳りを帯びたノスタルジックなメロディ感覚、そして Win Butler の柔らかく震えるような歌声にはやはり芯の通った個性がしっかり感じられるし、自分達の 「世界」 を何処までも探し求め、歩き続けるような勇壮な姿勢/意志は今作でも変わらず。オープナー 「The Suburbs」 が始まった瞬間、眼前にパッと広がるようなこの軽やかさは、過去の作品を追ってきた身としてはなかなか新鮮だし、16曲60分と長めの尺ながら曲順の流れが良く、起伏の波に身を任せてスムーズに聴き通せる。良い意味で大作を大作と感じさせないと言うか。今回も秀作。


Rating: 8.0/10
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