RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO 2日目 (後半)


エゾロック2日目の後半。夜から朝に向かいます。



BEAT CRUSADERS @ SUN STAGE
「P.O.A 〜POP ON ARRIVAL〜」 で彼らにハマったものの、ライブは見る機会が何度かあったにもかかわらずスルーし続けて今に至ってしまった、すれ違いだらけのビークル。すでに報じられている通り今夏のフェス巡業をもって解散するので、最後くらいはぜひ見たいと思って見た。いつの間にここまで売れっ子になったのやら、サンステージは後ろの方まで超満員。


SE 「SASQUATCH」 にのってやってきたお面5人組。マシータは NATSUMEN のライブで見たことあるけど、それ以外は素顔見るの初めてだわー。ヒダカが思ったより華奢で、カトウがどう見ても悪役プロレスラーだった (笑) 。でも声出したら甘ったるい渋谷系。なんだこのギャップ。ライブは 「CUM ON FEEL THE NOISE」 で勢い良くスタート。ああこのエモくて荒くてポップで親しみやすい、みんなが楽しめるパンクロック。ここしばらくはビークルから遠ざかっていただけに、久々のビークル節をしみじみ感じながらキャッキャ騒いでました。その後も 「DAY AFTER DAY」 「HIT IN THE USA」 、嬉しい所では 「MICKEY MOUSE CLUB MARCH」 、 「LOVE DISCHORD」 なんかも演ってくれた。当然恒例のおまんコールも披露。でもおまんコールは前日の聖飢魔IIに先越されちゃってたので、この日はデーモン閣下に挑戦状を叩きつけるかのごとく 「ぐへへへへ!お前も蝋人形にしてやろうか!」 連発、しまいには林檎まで持ち込んでた (笑) 。このバンドも小ネタに事欠かないなー。終盤では吉村秀樹 (bloodthristy butchers) を迎えて 「SUMMEREND」 披露。彼のオルタナティブな爆音がアンサンブルに一層凄味を持たせていました。


彼らもキャリアが長いだけに、ライブはすっかり安定の域でしたね。鉄板の盛り上げ方を熟知してる感じ。解散に関しては何だか軽いスタンスの彼らですが、今回のライブもいつものライブハウスのノリとあまり変わらず、余計な感傷とかは挟まないいつものスタイルだったのかなと思います。最初で最後のビークル、十分堪能させてもらいました。


WAGDUG FUTURISTIC UNITY @ EARTH TENT
ちょっと冷えてきたのでメシと酒でテンションを下げないようにしつつ、再びアーステントへ。 KYONO (THE MAD CAPSULE MARKETS) を中心とするバンド。正直音源聴いた時はあまり良い印象持てなかったんだけど、ライブはなかなか格好良かったです。演ってること自体は変わらず、後期 MAD からポップ成分を抜き、アグレッションに特化した超攻撃型デジタルハードコアサウンド。ラウドな音の塊をひたすらに乱射し、 KYONO も喉を擦り切らすようにシャウトしっぱなし。曲の違いとかまるで分からんけどそんなんどうでもいい。ひたすら頭振って暴れるには十分な、骨身に直接響く爆音祭りでありました。 ATARI TEENAGE RIOTサマソニ大阪に来なくてフラストレーションが溜まってたというのもあったのかも (笑) 。あとゲストで難波章浩出てたっけ?はしゃいでたら気付かんかった。どうせなら亮君も呼べば良かったのに。


相対性理論 @ EARTH TENT
このバンドも今回の目玉の一つ。各方面から大きくハイプされアルバムも好調なセールス、しかしながらあまりライブというイメージのない彼ら。先日の新譜が良い感じだったのもあって、これはチェックしておきたいなと。


楽器隊は本当その辺の大学生みたいな素朴さでしたが、ヴォーカルやくしまるえつこはフード被ったコート姿でとぼとぼ登場し、彼女の周りだけ1/2速で時間が流れてるかのようなマイペースさで、奇妙なオーラを纏っていました。場内は満員で、後ろからの押しも強かったのもあって顔ははっきりと確認できず。この時は客の盛り上がりが異様だった。やはり皆同じように期待を膨らませていたのか、 「ミス・パラレルワールド」 でライブが始まった途端に飛んだり跳ねたりの大騒ぎ。確かに踊れる曲だろうけどここまで熱くなるかというくらい。しかし当のメンバーはソツなく淡々と演奏をこなす冷静さ。特にまるえつは直立不動で微動だにせず、ほとんど音源のテイクと同じような歌を聴かせていて、まるで感情のないロボットのよう。曲と、歌詞と、メンバーと、客と、ギャップに次ぐギャップ。ライブを見れば彼らの正体が分かるかと思っていたのに、むしろ謎はどんどん深まるばかり。


その後もキラー曲 「地獄先生」 や 「テレ東」 「LOVEずっきゅん」 、また SMAP への提供曲 「GAIAにおねがい」 も披露。この曲も普通に相対性理論だものな。ラストでは 「慶一さん。鈴木、慶一さん。」 の声に誘われて鈴木慶一がゲスト参加した 「ムーンライト銀河」 ならぬ 「ムーンライダーズ銀河」 。慶一氏は荒々しく厚みのある音でサイケデリックな音の渦を生み、バンドにはない個性を吹き込んでいました。ミステリアスな雰囲気のセッションが終わると 「グッバイ。」 の声とともに終了。持ち時間20分ほども余らせて、何ともあっさりした幕切れ。楽曲の狙いといい、メディア的戦略といい、そしてこのライブといい、深読みを誘ってストレンジな魅力の沼に引きずり込むような、不思議というイメージに拍車をかけるライブでした。見た後は何だか煙に巻かれた気分。


SCOOBIE DO @ BOHEMIAN GARDEN
ついに日付が変わった。ぼちぼち体力も限界なのだけど、ここまで来たらあとひとつくらい見てくたばろうと思い、会場の最深部ボヘミアンガーデンへ。ステージに着いたらガンガンに音鳴ってて、もう始まってんじゃねーか!と思ったらリハの様子。しかし 「ロックンロールにリハーサルはないぜ〜!」 の言葉通り、すでに本番さながらの様相で盛り上がりまくり。この時点で期待を持つなという方が無理なもの。メンバーは一旦裏に引っ込み、その隙にチキンカレーと酒でガソリン補充して本編突入。


結論から言うと最高でした。個人的にスクービーは昔の音源をさらっと聴いた程度だったんですが、予備知識なんてなくてもすぐに入り込める。ファンク、ジャズ、ソウルといった要素が全てロックンロールに注がれ、日本人の血と混じり合ったような、超パワフルでハッピーなロックンロール・ショウタイムであります。ヴォーカルのコヤマシュウはロックンロールに魅入られたロマンチシストとしてのキャラを存分に発揮し、熱く、不敵に、ワイルドな色気を振り撒いて煽る。ライジングにきて俺は3人のフロントマンに惚れました。一人はデーモン、一人は MAGUMI 、そしてもう一人がコヤマシュウ。白いジャケットにイエー!の叫びが似合う、彼こそロックスターです。もちろん演奏陣も各メンバーの演奏力の高さ、阿吽の呼吸によるグルーヴに加え、ソロパートを交えながら派手な挙動で客を沸かせるエンターテイナーで、そのライブアクトしてのポテンシャルの高さ、熱量に完全に撃ち抜かれてしまいました。


本当に会場の後方まで漏れなく盛り上がっていたし、俺もずっと疲れを忘れてキャッキャしてました。溜まった疲れにはアドレナリンがよく効く。もはや脳内モルヒネ。彼らの雄姿を初めて目の当たりにして、すっかり思考がすっ飛んでしまった。アンコールの最後までずっとテンション冷めやらぬまま、爽やかに大団円を迎えたのでした。本日のベストアクトはレピッシュと彼ら。やっぱり最後にはうるさくて格好良いロックンロールが残るんですよ。



そして、終わった後はすっかり魂が抜けたように、道端の芝生に寝転んでぐったり。自分を中心に空が半円になり、遠くの方から LOOPA NIGHT の爆音ダンスビートが響き、多くの人が流れては消えていく。多分気付かないうちに1時間くらい寝てたと思う。目が覚めたら少し空が明るくなり、サンステージの方角から最後のアクト、アジカンの登場 SE が流れてきた。何だかこの辺の時間帯は夢遊病に罹ったような気分でした。目が覚めてるか覚めてないか、酒が入ってるか抜けてるかもよく分からん、一日のうちの一瞬の隙間。その中で、ああもう終わるんだな…という感慨に浸り、朝焼けをぼんやり眺めながら帰りのバスに向かったのでした。


いやー、ライジングサン、非常に楽しかった。一番最初にも書いたけどホント快適で、今まで行ったフェスの中で最も居心地が良かったかもしれん。おそらくまた来年も行きます。何かが起こりそうな予感に満ちた夏の夜の空気を目一杯吸い込み、だんだんランナーズハイにも似た心地になってくるあの感覚はちょっとクセになるぜ。