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V-ROCK FESTIVAL '11 @ さいたまスーパーアリーナ


宴が始まる…。



今なお活気を見せるヴィジュアル系のロックフェス、今年が2年ぶり2回目の開催ということでわざわざ埼玉まで行ってきましたよ。初参戦。


会場のたまアリはご存じの通りキャパ2万超の特大ハコですが (俺ライブでこんなデカい所来たの初めてかも) 、この日はメインアリーナに向かい合わせのステージが2つ、外にもステージが隣接して2つ。それぞれがほとんど間を空けることなく進行するというスタイル。進行は滞りなくほとんどストレスを感じることはありませんでしたが、常に音が鳴ってるというのもそれはそれでしんどいな…というわがままもあったり。いやでも開催2回目 (しかも前回とは別の会場) にかかわらずこのスムーズさは素晴らしいことなんじゃないかと。


そしてメンツがまたね。シーンを代表するバンドはもちろん、期待の若手から重鎮、復活組、異色派まで網羅した充実のラインナップ。見たいものが多すぎてこれ絶対被りがキツいだろうなーと思ってたら実際ホントにキツかった。もう休む間あらへん。まーでもしんどい思いして見てても仕方ないので、ある程度の犠牲は覚悟で休み休みしつつ過ごしましたよ。オープニングアクトの外タレが近年稀に見るレベルのジャリバンで (日本と海外の流行には10年の開きがあるってこういうことですね)、失笑買いまくりの演奏してて早速出鼻を挫かれた気分になりましたが、それ以降はそんなことはありませんでした。以下駆け足で感想。


YELLOW FRIED CHICKENz @ ROSE STAGE
まさかの初っ端に登場です。 GACKT を中心として結成された新バンド。以前から GACKT のサポートを務めていた面々に加え、ドラムには真矢も参加。トリプルギターかつダブルヴォーカルという異色の編成を執ったプロジェクトであります。正直最近の GACKT ってまともなオリジナルアルバム出してないから、追い切れずにすっかり離れてしまってたんですけど、久々にどんな姿を見せてくれるのか。


ラグビー選手みたいになってました。短髪のガチムチ体型で大きく腕を振り、しなやかに腰をくねらせ、ドッシリとお立ち台に鎮座する。ヴォーカル片割れの JON も同様にガチムチで、指先まで統制の取れたパフォーマンスを披露。何と言うか音に合わせて体が自然に動くような感じじゃなくて、一種のダンス、いやボディビルのポージングに近いものがあった。一挙手一投足が秒単位で定められてるような感じ。その挙動はまるでサイボーグ。楽曲は端正に纏められた王道ヴィジュアルロックという感じだけど、相変わらずガックンのヴォーカルはしなやかな中にも芯があって表現力豊かだし、エンターテインメントショウとして魅せようとする意識がハッキリと感じられるアクトでした。個人的には 「Vanilla」 がさらに下世話になってて嬉しかったり。


ギルガメッシュ @ MOON STAGE
ほとんど間を入れずに後ろのステージから2番手登場。音源はいくつか聴いたことあるギルガメさん。前の YFC がガチガチにシナリオの定められた内容だったのに対し、こちらはある意味真っ当なライブらしい躍動感、荒々しさで攻めるヘヴィロック。大味なデジタルハードコアを噛ませたヘヴィナンバー 「evolution」 「Break Down」 などはその手のジャンルならガンガンにダイブモッシュ誘発といった所ですが、Vの流儀としてはみなさんその場で拳上げ&ヘドバン祭り。途中では 「V-ROCK FES のテーマを勝手に作ってきましたー!」 つって AKB48 のアレをパクったりといったおふざけがありつつ、フットワークの軽さと骨太さのある演奏で楽しめました。さすがデカバコの場数を踏んでるだけある。


きゃりーぱみゅぱみゅ @ WHITE STAGE
王道のメインアリーナと比較してやけにカオス度の高いサブアリーナ。そのカオスっぷりに貢献してるモデルさん。中田ヤスタカプロデュースのデビュー作が割と好みだったんだけど、この場では当然のように浮きまくりアウェイ。しかしご本人黒髪のゴスロリ風出で立ちで登場だったり、いやにキレのある子供ダンサー (風車ヘドバンしてた) 引き連れて踊ったりと、単なるカラオケじゃない工夫もあって退屈はしませんでした。ただやはり会場の 「ああ、うん…」 みたいな生暖かい空気がね…。


ピコ @ ROSE STAGE
こちらも V-ROCK としては異色の名前ですが、意外にアウェイ感はあまりなく、むしろ多くの客を巻き込んでた。巷では 「両声類」 と形容されてるということで、本当に女性かと思うくらいの艶とハリ、透明感を兼ね備えたハイトーンヴォイス。一発目 「桜音」 からその声の魅力で大勢を惹きこむ。曲調としては他のV系バンドとそう大差ないはずですが、ヴォーカルの声質が変わるだけで響き方がこうも変わるもんかと。単純に楽曲がポップスとして高性能というのもありますが、その歌声のしなやかさ、凛々しさは他のアクトとは一風違った新鮮な魅力として映っていました。あと 「ピコピコ☆レジェンドオブザナイト」 はフェス映えする鉄板曲だなと。十分楽しめた。


ALI PROJECT @ MOON STAGE
言葉本来の意味で言えば間違いなく 「ヴィジュアル系」 と言えるアリプロ御大。この日はメンバー2人に加えてヴァイオリン2人、ドギツいダンサー4人を従えた変則的な編成。アリカ姐さんは長く伸びたブロンドにタイトな赤いドレスを纏ってゴシックロリータドクトリンを体現。 「亡國覚醒カタルシス」 「勇侠青春謳」 とヒットナンバーで飛ばしていくのですが、うむー、パフォーマンスはちと練り込み不足か…。出で立ちは派手なんだけど各々は歌/演奏に徹すのみでカラオケ状態なのは否めないし、あまり決め事作ってなさそうな周りのダンサーもあまり有効に働いてない気がする。 YFC とか見た後なのもあってちょっと中途半端な印象が残りました。曲自体は好きなんだけどね。


Eins:Vier @ MOON STAGE
今年の目玉の一つ。90年代に活動していた4人組ですが、この度はフロントのオリジナルメンバー3人による再結成。大きなブレイクこそなかったですが、根強いファンは多いとのことで。正直言うと俺は大まかには知ってたものの、ちゃんと聴きこんだことがありませんでした。


楽曲自体は曲構成から音作りに至るまで完全に90年代前半のV系そのままで、激しく時代を感じさせるものではあるけども、それがこのフェスの中では逆に異彩を放っていたし、新鮮に聴けました。伸びやかで清涼感のあるメロディに、音を厚くしないシンプルなアンサンブル。真っ白なライティングの中でゆったりと、しかし力強さも感じさせる演奏はストレートに響くものがありました。ヴォーカルの Hirofumi は痩せた身体を絞るようにして歌い、時には声を荒げる。再結成一発目というのもあったと思いますが、まさしく全霊を込めて歌を届けようとするそのパフォーマンス。何と言うか、誠実ってこういうことなんだなって。


ゴールデンボンバー @ ROSE STAGE
きましたよ。Mステでもそのらしさを存分に見せつけ、今一番旬の勢いに乗ってるであろうエアバンド。会場は今日一番の客の詰まりっぷりじゃなかったか。それだけでも彼らの人気を実感したのですが、さあ本編。


多分ライブを重ねるごとに悪ノリのエスカレート→定着を繰り返していったのでしょう。もはやエアバンドですらない、ほとんど楽器放り出してフリの嵐、ネタの嵐。ブーメランパンツ肩まで引っ張ってVと化すわ、脈絡なくトウモロコシ早食いするわ、ビニールプール持ち出してシャンプー浴びるわ、本当にやりたい放題。しかしこれら、少し前の何気ない MC がネタの前振りになってたりと、アホ丸出しなようでいて実は綿密に計算されたものでもある。最近はネタに近いフリを導入するバンドは数多く出てきてますが、それらを大きく突き放すアイディアの数々、構成の巧みさ。この頭の良さは例えば綾小路翔とかにも通じるところがあるんじゃないかと。そしてファンのクオリティの高さにも驚く。代表曲 「女々しくて」 は当然のように全員でダンス、そのほか新曲 「酔わせてモヒート」 でも割と複雑なフリがあったんだけど、見よう見まねでその場でガンガンラーニングしていくのには少々慄いた。ここまで一体感を生み出せるパワーっていったい何なんだ。


ぶっちゃけ俺はゴールデンボンバーの良さがよく分からなかったんですよね。曲は割と普通に良いんだけど、そこまでネタに走るのってバンドとしてどうなんだ?という硬いオッサン脳だったもので。しかし今回見て確認したのは、彼らは地下アイドルとかと同じジャンルなんだなと。普通にバンドとして見てるからわからなかったんだと。メンバーのキャラクター、ライブの楽しさなどを含めて総合的に楽しむというエンターテインメント性に特化した存在なのだな。自分の中でそういう落とし所が掴めたので今回すげえ楽しかったです。そりゃ人気出るのも分かるわ。ベストアクト。


DEAD END @ RAINBOW STAGE
なんで超大御所がサブアリーナなんだよ…まあこの時間帯にもなると他のアクトも強力だし仕方ないのかな。いやしかしさすが、演奏は他とは確実に違う存在感、熟達した渋味や凄みのようなものが十分に感じられました。70〜80年代 HR/HM の要素は他のラウド系とは違った味があり、腰をどっしり据えた重さでズンズン迫る。 MORRIE は40過ぎとは思えない屈強な身体を曝け出し、悪魔が憑依したような歌を聴かせる。他のメンバーも演奏に徹しつつ、無言の裏にある冷たい緊張感が鋭く刺さってくるよう。黒い翼を羽ばたかせるように音が広がる 「摩天楼ゲーム」 、砂塵を撒き散らして疾走する 「Dress Burning」 などさすがの格好良さ。その実力は短い間ながらもひしひしと感じられました。


SOPHIA @ MOON STAGE
まさか今ライブを見れることになるとは思わなかった。俺は彼らに関しては90年代の頃よく聴いてましたが、それ以降は何となく離れていったというにわかであります。


初っ端がいきなり 「黒いブーツ 〜oh my friend〜」 、その後も 「ミサイル」 「街」 といった往年のヒットナンバーと、 「BANDAGE」 「cod-E 〜Eの暗号〜」 などの最近の曲を交えた構成。しかしいずれの曲においても彼らの立ち位置はブレず、何とも真っ直ぐな J-ROCK 。松岡充は結構に盛ったギャル男スタイルでしたが (笑) 、まるで少年のようなナイーブで青い、純度の高い歌はこれも最近あまり見なくなったもので嬉しくなる。また MC では都啓一の癌の話にも触れ。ステージ4まで進行していたにもかかわらず奇跡的な回復を見せたとのことで、客席からはまるで弱りが見られない演奏でした。90年代にデビューしたバンドは今や活動停止や解散などですっかり少なくなってしまいましたが、彼らはマイペースに、地道に、それでも多くのアクシデントやドラマを抱えて続いてきたんだなと。そんなバンドがこういった大舞台の最後方まで客を惹きつけて楽しませているというのはちょっとした奇跡ですよね。見れて良かった。


ムック @ ROSE STAGE
ようやっとトリです。ムックを生で見るのは確か2003年の 「我、在ルベキ場所」 のツアー以来、だから8年ぶりですよ。その間に彼らも音楽的な変遷をグルグル遂げてきたわけですが、今回の姿はどうか。


ゴージャスな打ち込み SE が大音量で鳴り響く中、メンバー登場。そのまま 「フォーリングダウン」 へ。その他 「ファズ」 や新曲 「アルカディア」 においても、最近のムックは4つ打ちエレクトロサウンドを新機軸として導入しておりますが、それらと高速メタルナンバー 「咆哮」 、初期の暗黒曲 「絶望」 「娼婦」 が織り交ぜられてるという。よく考えればなかなかカオスなセットリストなのだけど、それでもバンドの肉体性を第一に置き、散漫にならずにエンターテインメント性を維持してるという彼らの胃袋の強靭さが表れたライブでした。メンバー皆本当に堂々としていたのだよな。達瑯は長身を生かしてダイナミックかつスタイリッシュに客を煽り、演奏陣もフットワーク軽く動いて存在感をアピール。トリに相応しい安定感と貫禄、なおかつフレッシュな勢いも感じられました。ベストアクト2。



といった感じで VRF 終了ー。勢いのゴールデンボンバー、安定のムックが飛び抜けてましたな。そんなこんなでお疲れ様でした。