cali≠gari 「1」

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今年結成20周年を迎える4人組の、1年半ぶりとなる新作。


内容は彼らのレパートリーの中でも激しく際どい楽曲のみを抽出したセルフカヴァー。かつて奇形メルヘン音楽隊を自称していた頃のアングラムードが回帰しており、久々に他人に聴いてるところをあまり見られたくない類の危険な作品となっております。前半 「ギロチン」 「失禁」 「-187-」 は全て2分未満の不意打ち。どの曲もギターはさらに色味を無くしてノイジーになり、ベースはグリグリと這い回る怪しい音で異様な存在感を発揮しています。このショートチューン3連発で勢い良く一気に畳み掛けてくる構成は非常に格好良い。そしてラストに据えられた 「サイレン」 は重たく引き摺るリズムと鳴り響く警鐘がカオティックに混ざり合うドゥーム曲。原曲よりもさらにテンポが落とされてドゥーミーな凄味は2割増し、中盤に差し込まれたメロディの美しさにもゾクッとさせられる。総じて THE STALIN やガセネタといった80年代アングラパンク/ハードコアの病巣的な部分を現代のフィルターに通して表現してるよう。 「-187-」 なんかはオペラチックな装飾が抜けて正しく直球ハードコアと化してるし、彼らの持つレンジの広さ/深さを再認識させられました。

Rating: 8.3/10