gibkiy gibkiy gibkiy 「In incontinence」

In incontinence

In incontinence

1年半ぶりとなる2作目。


前作「不条理種劇」は前身バンド highfashionparalyze のセルフカヴァーを主とした作品だったのもあり、リズム隊の介入という面でやや試行錯誤している印象がありましたが、ここではいよいよメンバー4人の力量が真正面からぶつかり合い、アンサンブルの一体感をグッと高めています。ブックレットには歌詞を記載し、リード曲「愛という、変態」などでは明確なサビを置くなど、以前のジャムセッション然とした作風からプロパーな曲構成へとシフト。それはメンバーがかつて所属していた Merry Go Round 、あるいは deadman 時代への回帰とも受け取れますが、もちろん単なる逆行には終わっていません。強烈に耳に纏わりつく kazuma の怨念めいたヴォーカル、生々しい鋭さとディープな陰影を併せ持った aie のギター、そして大蛇のように蠢くリズム隊の迫力、それら各パートが有機的に混ざり合って生まれる凄味は、メンバーの長い経歴の中でまた新たなキャリアハイを示していると思います。これまでの活動で確立した個性を改めて打ち出し、アプローチが変わっても表現の核はブレることなく、ますますダークな深みと力強さを増すことに成功した傑作です。

Rating: 8.6/10



gibkiy gibkiy gibkiy - 愛という、変態