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downy 「無題 (3rd)」 「無題 (4th)」

第三作品集『無題』再発

第三作品集『無題』再発

2003年に発表された3作目のリマスター再発盤。


downy のカタログ中最も愛想の悪い作品。前作で見せていたポストハードコア的激情、あるいはシューゲイザーに通じる轟音ギターの重層はすっかり身を潜め、徹底して抑制されたテンション。細部の音作り、空気感にまで神経を張り巡らせ、人力でありながら人間らしい体温をほとんど感じさせないサウンドと化しています。ある意味最もエレクトロニックな作品と言えるかもしれません。オープナー 「鉄の風景」 からすでにその底無しのダークネスは広がっています。ダビーな音響処理を施されて挿入されるノイズ、ロックバンドとしてのグルーヴを徹底して排除したリズム隊。窒息しそうなほどの緊張感が全編に貫かれ、聴き手の神経を痺れさせる。今回のリマスタリングによって中低音の輪郭がくっきりと浮かび上がり、本来の緊張感がさらに強調されているような気がします。余談ですがこの作品が出たのは Radiohead 「Hail to the Thief」 と同年で、おそらくサウンド面での志しは相通ずるものが多くあるかと思いますが、比較することでやはり downy は日本人ならではの侘び寂び、渋味を持ったバンドなのだなと確認し、妙な感慨に耽ったりしたのでした。

Rating: 8.7/10





第四作品集『無題』再発

第四作品集『無題』再発

2004年に発表された4作目のリマスター再発盤。


上の前作からの反動がモロに表れたのか、一気に攻撃的な作風へと変貌しています。彼らの出自のひとつであろう US ポスト・ハードコアからの影響がダイレクトに反映された、硬くエッジィに研ぎ澄まされたディストーションサウンド。頭にドリルを捻じ込まれるようなリズム隊の強烈さに加え、ギターは必要以上に重さを出さず、しかしながら刃物のごとく鋭さを増したサウンドでアグレッシブに迫り来る。序盤 「弌」 「Δ」 の格好良さは最初聴いた時あまりの鮮烈さに打ち震えたし、プログレッシブ・ジャズロック 「fresh」 の凄まじい緊張感、人力オルタナティブ・ヒップホップ 「サンキュー来春」 の棚引く妖しさもひどく刺激的。そしてボートラとして追加された当時の未発表曲 「逆光」 は、まさかのダブステップで時代を5年ほど先取りしていました。本編のハードコア路線とは微妙に外れていたが故のオミットだったのかもしれませんが、これほどの曲を埋もれさせていたというのが俄かには信じがたい。あと青木裕によるリマスタリングは微妙な差異ではありますが、ギターの生々しさに重点を置いて全体の纏まりを幾分か良くした感じでしょうか。再発による付加価値が最も高いのが今作かと。

Rating: 9.5/10