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VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 1日目

LIVE

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俺が見えないのか、すぐそばにいるのに…


主に YOSHIKI が中心となって立ち上げられたこの度のヴィジュアル系フェス。昨年の LUNATIC FEST. 不参加を心から恥じ、今年は3日間フル参加してきました。本番直前までタイムテーブルや会場マップなどが公開されないままで、観客のみならず参加バンドの肝までをも冷やしていたこのフェスですが、いざ蓋を開けてみれば、おお、ちゃんとしてるじゃないか!音響は最前あるいはよっぽど離れて見てない限りは問題ないレベルだったし、まあフードやトイレといった施設面の弱さはあったものの、幕張という都市型の屋内フェスであることを考えれば全然許容範囲内だろうと。あとは体力面を自身できっちり調整すれば十分チケット代の元は取れる。楽天もウドーもやればできる子だ。ということで見た順に感想をズラズラ書きます。この日は24年ぶりの EXTASY SUMMIT も兼ねてるんだって。へー。


X-SUGINAMI @ VISUAL STAGE

このフェスは X に始まり X に終わるというね。知る人ぞ知るプロのバンドマンによる本気の X コピーバンドです。本気を出した大人は凄い。なにせ演奏やメイク、またステージングの一挙手一投足に至るまで元ネタを細かくトレースし、コピーバンドとしてひとつの理想を体現していましたから。まあ Toshl 役の NoGoD 団長は要所要所で笑いを取ってたけど、それもコピーバンドのエンタメとして真っ当な姿。もはや本家も演らなくなってしまった「BLUE BLOOD」に「Vanishing Love」、そして「X」で当然のように会場中に生まれる一体感。俺たちは無敵なんだと気付かせてくれた最初の瞬間でした。


BEAST @ JAPAN STAGE

かつてエクスタシーレコードに所属していた4人組。今年に入ってから再結成を果たし、今は6人編成なのだろうか。自分は名前だけ知っていたけど音を聴くのは初めてでした。もう見た目からしてロクでもない刺青だらけのチンピラばかりが揃い、ゼロ年代初頭の THE MAD CAPSULE MARKETS のような、ギチギチに歪んだデジタルミクスチャーメタルを演奏するという、ある意味なんとも潔い姿がそこにありました。自分でも MC で言ってたけどカタギの職にはとても就けなさそうな、この手のやさぐれたバンドマンって今ではすっかり珍しくなった類だと思うんだけど、本当よく今まで生きてたよな…。見る人によってはそこにドブネズミみたいな美しさを持った、ひとつのロマンを見い出していたことでしょう。


Psycho le Cému @ SUMMIT STAGE

今になってまさかサイコのライブを見れることになるとはね…。もうこの時点で今が西暦何年だか分からなくなってる。彼らに対してゼロ年代当時からずっと思ってたのは「格好は凄いけど曲は普通」ということで、まあ今回のライブでもその印象は変わらなかったんですけど、それでも勇者やらモンスターやら大仏やらのド派手なコスプレで登場し、初っ端で似非ドラクエのバトル映像を流しながらのコント、そこから全員で楽器持たずにダンスという数々のブッ飛んだ演出、これだけやられればもはや曲がどうとか大した問題ではないんですよね。ライブというよりテーマパークのミュージカル状態。なんだか有無を言わせない勢いがありました。これもまたヴィジュアル系冬の時代を生き抜いてきたタフネスの一種か。


かまいたち @ SUMMIT STAGE

元祖はちゃめちゃ狂の人たち。幻覚アレルギーは聴いてたんだけど、不勉強なもので彼らの曲まともに聴くのは今回が初めてでした。完全にパンク/ハードコア。Sex Pistols のファッションを曲解しまくったような KENZI の強烈な出で立ちもさることながら、とにかく勢い重視で突っ走るショートカットなパンクチューンの連打は、昨今の重厚なへヴィネスに慣れた耳には逆に新鮮に響いてきました。SCEANA の挑発的でアグレッシブなヴォーカルも実際に生で聴くと感慨深いものがあったり。そしてこの日のサポートギターは屍忌蛇。ここぞという場面でステージ上から発せられた「今からやぞ!!!」。生今からやぞ、これ聴けただけでも幕張来て良かったなって。


NOCTURNAL BLOODLUST @ JAPAN STAGE

ようやくまともに若手見た。先日の LOUD PARK にも出演していた、ヴィジュアル系ヘヴィロック勢の急先鋒。元々は別の畑で活動していたとのことですが、他との違いは実際に音を聴いて分かりました。線の細さ、ナイーブさが無い。サビ部分ではヴィジュアル系らしい耽美なメロディラインが顔を覗かせるものの、その他の部分は他のバンドよりも頭一つ抜けてタイトで無機質、ゴリゴリに鍛え上がったメタルサウンドが耳を劈く勢い。ヴォーカル尋のボディビルダーさながらに仕上がった肉体のごとく、鋭さも重さも可能な限り増幅させたブルータリティ極まるメタルコアサウンド。これは本当にメタルを聴き込んでいないと出せない音だ。曲構成の複雑さもあり、音の激しさに身を任せていたらあっという間に終わってしまったという感じでしたが、その実力ははっきりと痛感させられました。


Gargoyle @ VISUAL STAGE

当然存在は知っていたし、音源も聴いていた。しかしライブは初めてのガーゴイル。結論から言うと涙が出るくらい最高でした。オールドスクールスラッシュメタルに和風エッセンスを盛り込み、地割れのような KIBA 独特のヴォーカルがそのアグレッションをさらに加速させる、彼らならではのサウンドはこの大舞台においてもとても力強く、頼もしく響いていました。来年で結成30周年を迎える大御所ですが、彼らは全く落ち着く様子が見当たりません。ヴォーギングを独自解釈したような KIBA の忙しないパフォーマンスを筆頭に、バンド全体から発せられるあのエネルギッシュさは、彼らが常に止まることなく活動を続けてきた芯の太さの表れに他ならない。ベース TOSHI は MC でこう叫んでいました。「ガキ共!これが Gargoyle だ!」と。その円熟味と現役感よ。まるで説得力が違った。本日のベストアクト。


lynch. @ JAPAN STAGE

ライブは久しぶりのおリンチ。彼らもまたヴィジュアル系へヴィロック勢の一組ですが、彼らの場合は楽曲に余計な色味を足さず、常にモノトーンの渋味を貫き続ける美学がある。この日は意外にも「LAST NITE」で冷静な中に妖艶さを匂わせながら幕を開け、その後は「ADORE」「GALLOWS」など得意のキラーチューンを連発。しかしアグレッシブな勢いの中にも、重心を低くどっしりと落とした安定感、凄味のようなものが音の中から感じられて、いつの間にこのバンドはこんなに大きなオーラを見せるようになったのかと、思わず感心してしまいました。ヴォーカル葉月は妙に礼儀正しい MC の中で「今日は先輩の首を獲りにきました」と宣言してた。リスペクトばかりでは足りない、後進に必要なのはこういった野心。印象を更新させられたステージでした。


GLAY @ SUMMMIT STAGE

ついにようやく初対面となった GLAY 。ごめんなさい俺はシングル曲程度しか知らないにわか者です。だって俺ラルク派だったし…。ただこの日のパフォーマンス、さすがに大舞台をいくつも経ているビッグバンドなだけに、まるで余裕綽々のパフォーマンスでした。「超音速デスティニー」や「デストピア」といった新曲を挟みつつ、「BELOVED」や「グロリアス」といった往年のヒット曲ではスクリーンに歌詞が映され、さながら数万人のカラオケ状態。にわか者の自分でも一曲通して合唱できるんだから、さすが GLAY は器が違うと言わざるを得ない。そして「自分たちが YOSHIKI プロデュースでデビューできたのは HIDE がデモテープを渡してくれたおかげ」というエピソードから X「Joker」のカヴァーも披露。原曲のハードロック色を残しつつ、完全に GLAY 色に染め上げていました。しかしまあ、歌詞や MC 、ステージングの端々から、これだけ実直で真面目な人柄の滲み出たヴィジュアル系って他にそうそういないよなと、改めて。


そして、残りの LUNA SEAX JAPAN も見ずに俺は初日の幕張を去ったのでした。いやその人には色々ありましてね…。