world's end girlfriend「LAST WALTZ」

LAST WALTZ

LAST WALTZ

約6年ぶりとなる6作目。


今作のテーマはズバリ「world's end girlfriend」とのこと。確かにここにはオーケストレーション、不規則なノイズエディット、不意にあどけなさを見せるシンセ、そして湯川潮音Piana といった盟友ヴォーカリストの参加も含め、weg を構成する主要素が網羅されています。生々しく歪んだギターがギロチンのごとく降りかかる表題曲「LAST WALTZ」に始まり、様々なテクスチャーが混濁して歪んだ美しさを見せる大曲「Flowers of Romance」、絶対零度の冷たい緊張感が張りつめた「Crystal Chrysalis」、ノイズに塗れたアレンジの中から華やかで感動的なメロディが浮かび上がる「Girl」など。かつての weg のように生音と電子音が境目なく融合してるというよりは、前作「SEVEN IDIOTS」でのハチャメチャな実験性の名残があるのか、クラシカルな優美さを強調しながらもダーティな部分はよりダーティに、美醜それぞれの輪郭をくっきり際立たせたダイナミックな音像。それは昔の作品に慣れた耳には良くも悪くもザックリとしたラフなものに感じられ、聴きようによっては従来的なポストロックの先祖返りのようでもある。集大成のようでいて、過去にはない音。

Rating: 7.9/10



world's end girlfriend / Plein Soleil / MUSIC VIDEO / from "LAST WALTZ"

yahyel「Flesh and Blood」

Flesh and Blood [国内盤CD] (BRC530)

Flesh and Blood [国内盤CD] (BRC530)

2015年結成の5人組によるデビュー作。


ダブステップやトラップなど、テン年代のクラブミュージックを吸収したオルタナティブ R&B 。自分が知る中では James Blake 、The xx 、FKA twigs といった現代の急進的ミュージシャン、それらの潮流とシンクロする極めてクールかつソウルフルな歌の数々。特に「Once」ではブラックミュージックならではのファンキーで豊かな歌心が感じられたり、「The Flare」でのアップリフティングな4つ打ちが静かに青白い炎のような熱狂を伝えたりと、その力量、フックとなるアイディアの数々は見受けられます。ただやはり、全編英語詞なのも災いしてるのか、悪い意味で邦楽に聴こえないのですよね。別に日本人だったら日本語で歌うべきなどと言うつもりはありませんが、それにしても前述の James Blake などが切り開いてきたポスト・ダブステップ、エレクトロ R&B の範疇からほとんどはみ出さない内容で、彼らならではの歪な個性というものがここからは感じ取りにくい。実も蓋もない言い方をしてしまうと、まあコレ聴くなら James Blake で十分間に合ってるかな、という感じ。いくらハイエンドであっても既視感が過ぎると、それはちょっと。

Rating: 5.8/10



yahyel - Once (MV)