餓鬼レンジャー 「キンキーキッズ」

キンキーキッズ

キンキーキッズ

熊本出身の5人組による、約2年ぶり7作目。


自分は餓鬼レンジャーを聴くのが今回初めてでして、まあ噂には聴いておりましたが初っ端のイントロからバカ全開です。最近の世の中には悪ふざけが足りない。猥雑が足りない。エロが足りない。そこにドンと一発物申すキンキーキッズこと彼らの出番というわけですね。なんて頼もしいんだ。マイクリレーと怒涛の韻踏みでフロアをブチ上げる「超越」から歌詞を読んでるだけで知能指数がグングン落ちていく「Miss PenPen」へ、自らの性癖を完膚なきまでに曝け出す「MILF」からラッパーとしての日常の幸せをジワリと噛み締める「運がYEAH」へ、その他にもこれでもかとばかりにガチガチの固いライムを連発して技量の高さをアピールしつつ、どうしようもない下ネタと真摯なメッセージを織り交ぜながら餓鬼レンジャーという個性を多面的に見せつけてくる。合間合間に挿入してくるスキットという名のコントも、苦笑いを誘いながらも一応は楽曲の世界観を拡張するのに一役買ってるわけだし、総じて彼らが言いたいことというのはあんまりクソ真面目になるなよ、無駄を愛せよ、でもキメる時はキメろよということだと思うのですがいかがでしょうか。

Rating: 7.4/10



餓鬼レンジャー/「超越 feat. TWIGY & 呂布カルマ 」MV

RITTO × Olive Oil 「アブサン 2014~2017」

アブサン 2014~2017

アブサン 2014~2017

沖縄のラッパーと福岡のトラックメイカーによるコラボアルバム。


Olive Oil の作るトラックは言わば Prefuse 73 直系に当たるアブストラクト・ヒップホップ。様々なネタやビートの飛礫カットアップして繋ぎ合わせ、ジャジーなムードが通底する中で歪なグルーヴを紡ぎ上げるというもの。ここでは全編通して6/8拍子の多用と、おそらく50~60年代辺りのオールディーズからのサンプリングも功を奏し、例えば skillkills とも同調するドープな浮遊感とラグジュアリーな心地良さが繋がれ、リラクシンでありながら知的好奇心を擽る独自の味わいを生んでいます。そこに乗る RITTO のラップはしなやかさの内に人情味溢れる熱さを秘め、なおかつリリックの端々からエキゾチックな沖縄フレイヴァーも零れる。Olive Oil の曲調もその南国の匂いに呼応するかのように、時には開放的な広がりを増して真夏の浜辺を想起させたり、「G0DSTR」では唐突に MONGOL800 をブッこんでみたり。多くの楽曲が3分未満なのもあって全体の流れが実にスムーズに纏まっており、互いが個性を擦り合わせながらアルバムトータルでの構築性を強く意識しているのが伺えます。コラボレーションの必然性が確かに感じられる充実の内容。

Rating: 8.0/10



RITTO×OLIVEOIL「GO OKINAWA」