8otto 「Dawn On」
- アーティスト: 8otto
- 出版社/メーカー: FABTONE
- 発売日: 2017/10/18
- メディア: CD
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彼らの曲を聴く時にはいつも、地下のクラブで静かに燻らす紫煙のような、果ての無い荒野に佇んで眺める地平線のような、ともかくそういった男のロマンが音に凝縮されているように感じるのですね。基本的には今作もこれまでと変わらず、ファンクあるいは Gang of Four などポストパンクの鋭角ダンスグルーヴを通過したガレージ・ロックンロール。ただプライベート含めた活動スタイルの見直しが功を奏したのか、どの曲でもフックとなるアイディアが生き、渋味あるメロディが生き、フィジカルで芯の太い演奏が生きています。何処となく The Rapture を彷彿とさせるアーバンなディスコパンク「SRKEEN」、さながら Nirvana を Weezer で割ったような「Romance」、華やかかつ野蛮なホーンの鳴りに驚かされる「It's All Right」、Peter Hook へのオマージュを挟みつつ感傷的なポップネスにグッとくる「Mr. David」など、モノトーンのようで多彩な楽曲群は彼らのキャリアハイを誇らしく示しています。デビュー以降追求してきたロックンロールの即効的な快楽、シンプルな中に覗かせる荒くれた魅力を真っ当にアップデートして見せた快作です。
Rating: 8.4/10
パスピエ 「OTONARIさん」
- アーティスト: パスピエ
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2017/10/18
- メディア: CD
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今年の5月にドラマーやおたくやが脱退を発表。テクニカルな屋台骨を失ったのは痛手だとは思いますが、これもまたひとつの転機だということで、この新作ではリズム面においての試行錯誤が目立ちます。最も顕著なのはトラップの導入。「(dis)communication」「空」「ポオトレイト」といった中盤の楽曲群において、人力だったり打ち込みだったり様々な質感の音色を使い分けつつ、深いタメの効いたグルーヴとスタイリッシュに洗練されたプロダクション、そこにパスピエ印のオリエンタルな和メロを組み込むという形で、ドラマー不在の状態を逆手に取った新たな試みを見せています。特に「空」なんかは浮遊感のあるシンセが CICADA なんかにも繋がる音像で、現行のチャートポップに対する目配せと同時に、バンドとして次なるステップに進むという野心が見え隠れする。ただそれ以外の楽曲は従来の流れを汲んだアップテンポなバンドサウンドで、こちらは「フィーバー」や「トロイメライ」など過去のキラーチューンに比べると力不足な感がある。総じては習作という印象ではありますが、これからの可能性も確かに感じさせる内容だと思います。
Rating: 6.1/10