SPARTA LOCALS 「underground」

underground

underground

福岡出身の4人組による、約10年半ぶり8作目。


過去のスパルタローカルズからも HINTO からも地続きの、潔いくらい完全に彼ら独自の音という感じで笑ってしまった。XTC あるいは Talking Heads 、場面によっては INU にも通じるかもしれない、ともかくそういった70~80年代ポストパンク直系の鋭角に研ぎ澄まされたファンクネスの連打。さすがに初期スパルタの殺伐とした緊張感はありませんが、それを補って余りあるほどのタイトで強靭なダンスグルーヴが血肉を湧き立たせ、同時にユーモラスなアイディアの数々が聴き手をモクモク煙に巻く。素っ頓狂にシャウトする安部コウセイのハイトーンヴォイス、ガヤガヤした合いの手コーラスなどもベテランとは思えない微笑ましさ。もちろん能天気に踊っているばかりではなく、油断していると毒の効いた歌詞がチクチクと突き刺さってくる。特にハイテンションな勢いで耳に痛い皮肉を投げかける「battle」、また「GOD」での人間模様の風刺から美しい叙景へと移行する展開の妙にも思わず唸らされた。8曲29分と復活作にしては随分とこじんまりした構成ですが、そのぶん的が絞られて彼らの強烈な個性が密度濃く詰め込まれています。この異物感は今でもバッチリ有効。

Rating: 8.0/10



SPARTA LOCALS 「jumpin」(from『underground』) Live short ver

ドミコ 「Nice Body?」

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2011年結成の2人組による、1年4ヶ月ぶり3作目。


ふくよかな厚みとザックリした荒さを見せるサイケ/ガレージロック、そこに妙にのほほんとしたポップなメロディが乗っかる様子は何処となく BOaT を彷彿とさせたり、またはギターとドラムのみの最小コンボというところで安直ながら The White Stripes を連想したり、または微妙にヒップホップからも影響を受けてそうな洗練されたセンスは Arctic Monkeys 以降と言えるか、もう少し言えば「裸の王様」や「服をかして」のようなサイケ成分の濃厚な楽曲では最近の Tempalay などとも共通する先鋭的な毒っぽさを感じる。色々と他人の名前を連ねましたが、彼らの音楽はそれらのちょうど中間点にあり、多くの共通項を持ちながらそのいずれにも属していない、良い意味でファジーな印象があります。やたらとふてぶてしく見える軽快な演奏に、意味性よりも語感の気持ち良さを重視した歌詞も相まって、ザクっと突き刺さってスッと抜けていくバブルガム的な中毒性が際立つ。ギターリフとグルーヴの呼吸が噛み合ったロックンロール本来の旨味、その鳴らす音の快楽以上も以下もない、その無意味さに意味がある的な。

Rating: 8.3/10



ドミコ(domico)/ペーパーロールスター(PAPER ROLL STAR)(Official Video)