VOLA & THE ORIENTAL MACHINE 「Transducer」

Transducer

Transducer

アヒト・イナザワを中心とする4人組の、約8年半ぶり4作目。


自分が VOLA の楽曲を聴くのは初作「WAITING FOR MY FOOD」以来になります。当時は Franz FerdinandThe Rapture のようなニューウェーブリバイバルが隆盛で、自分もそれらのバンドを愛聴してはいたのですが、泥臭く荒くれたドラミングを一番の武器とするアヒトが何故その路線に向かうのか正直よく分からず、しかも自身がその武器を捨ててギターヴォーカルに転向というものだから、個人的には疑問符ばかりが頭の中に浮かんでいました。しかしそれから10年以上の年月が経過した今でもなお、彼らはその道を突き進み続けています。祭囃子風味のアッパー曲「MAC-ROY」では同郷の SPARTA LOCALS に通じるユーモアが感じられたり、フレッシュな透明感に満ちたシンセサウンドを目一杯詰め込んだ「Rare case a Windows」や「Perfect Yellow」の清々しさは Pet Shop Boys にも肉薄する勢い。極めつけにクローザー「Last Dance」はあからさまに New Order ときた。ブームが過ぎ去ってもブレの無い姿勢を見せつけられて、このニューウェーブ志向はアヒトの根っこにあるものだったと今更ながら気付かされました。NUMBER GIRL も頑張ってね。

Rating: 7.2/10



VOLA&THE ORIENTAL MACHINE MV "MAC-ROY"

集団行動 「SUPER MUSIC」

SUPER MUSIC (初回限定盤)

SUPER MUSIC (初回限定盤)

真部脩一を中心とする4人組の、約1年ぶり3作目。


前作の時もそうでしたが、齋藤里菜のヴォーカリストとしての技量の向上が手に取る様に分かります。そもそも真部脩一の歌詞スタイルからして歌に感情を込められないという前提があるのですが、控えめな抑揚の中で朗らかさや切なさといった表情の揺らぎを仄かに香る程度に見せる、その透き通ったスマートな歌声には自然と引き寄せられる魅力があり、バンドのフロントとしての存在感を十分に確立するに至っています。そして楽曲の面では様々なアイディアを盛り込んでアレンジの幅を一気に拡張。いきなりチープさでずっこけるディスコ風の表題曲「SUPER MUSIC」に始まり、真部本人もバラしていた通りまんま P-MODEL「テレビジョン」にまんま The Brian Setzer Orchestra な「セダン」、何故かゴリッとヘヴィな厚みの「皇居ランナー」に何故かブルーグラス調の「パタタス・フリータス」等々、やたら賑やかな楽曲群。もちろんいつもの脱力系ユーモアも随所で目立ち、特に「スープのひみつ」や「婦警さんとミニパト」はある意味殺傷力高い。正規ベースもミッチーで決定したということで、パーマネントなバンドとしての充実っぷりがしっかり表れた快作です。

Rating: 8.1/10



集団行動 / 「1999」Music Video(Short ver.)