睡蓮 「音ヲ孕ム」

音ヲ孕ム

音ヲ孕ム

藤井麻輝 (元SOFT BALLET) と女性ヴォーカリスト芍薬によるユニットの初作品。


繊細な奥行きのあるエレクトロニカ (時にインダストリアル的なノイズ) とゲスト陣による生音が絡み、そこにジャパネスクな音階が乗るというスタイルが基盤ですが、その中で収録されてる6曲とも微妙に違った方向を向いてるのが面白いです。まるで雅楽のような静謐な空気の中にピンと緊張の糸が張りつめた 「Lotus」 、一転して地に足をつけた彼ら流のトリップホップ 「昼間」 、言葉遊びを交えつつ歌謡的な側面が一層強い 「鶏頭」 、溶けるような浮遊感と優雅なストリングスが調和した 「夕鶴会」 、また一転して攻撃的なバンドサウンドの歪みが牙を剥く 「左手」 、そして今作中一番の濃度で重厚かつディープに沈んでいく 「Spine」 とヴァラエティ豊かな内容。でも全体を覆う和風でミステリアスなムードは一貫、また芍薬嬢のヴォーカルは曲ごとに表情を変えながら常に妖艶な香りを振り撒いており、しっかりトータリティが感じられます。メロディは意外と取っつきやすい部分もあったりするし、挨拶代わりには十分すぎる一発でしょう。


Rating: 7.8/10
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