world’s end girlfriend & POLTERGEIST ensemble × 夢中夢 「反復する鳥たちの深淵」 @ 梅田Shangri-La


今年初のライブに行ってきました。バンド編成としては関西初ライブとなる weg と、この日は弦楽隊を従えた特別編成の夢中夢による2マン。前者は去年の toe との対バン以来、後者はライブ見るのは初めてです。


会場の梅田 Shangri-La は家からチャリで15分程度という俺的に最高の立地条件 (笑) 。キャパは300〜400くらいか。深紅のカーテンに豪華なシャンデリアが妙な存在感を示す、昭和レトロモダンを現代にヴァージョンアップしたようなオシャレな内装でした。段差があって見やすいしなかなか好きなハコかも。しかし開場時間が押して何十分もクソ寒い夜の路上で待たされるっつー拷問のような一時も味わえたよ。スタッフ要領悪すぎだぜオイ…。


先行は夢中夢。去年の 「イリヤ -il y a-」 が俺のツボばかり刺激してくる素敵な内容で、でもライブはどうだろうなーという期待半分不安半分の心持ちだったのですが、まずは紗幕にショートフィルムの上映。麗らかな日の光の中で草原に横たわる女性、そこに 「救いだと思った世界は "無" だった」 「僕の "夢中夢" を引き裂いて」 などのリリックがインサート。うわーこの一つ針で突けば瞬時に張り裂けそうなナイーブで青臭い自意識、セカイ系哲学チック表現のど真ん中ストレートを地で行く映像。さすがにこれどうなのよと思いつつ、まー夢中夢らしい味かなと思わなくもない。


そして幕が開き、まずは弦楽隊トリオ (男一人女一人エビ一匹) によるインストからスタート。後でバンマスのブログ読んで分かったのですけど、 「存在の確立」 の弦ヴァージョンだったんですね…全く気付かなかった。でもヴァイオリンやチェロの響きというのはやはり良いですね。軽やかさも重々しさも同時に感じさせる深い音で、空気が一気に厳かになって音に引き込まれる。やがて曲が終わると徐々にバンドメンバーも加わってさらに雰囲気をダークに深めていき、 「反復する世界の果てで白夜は散る」 からようやく歌が入って、その全貌を現す。ヴォーカルのハチス嬢はジャケ通り真っ白なドレスを纏い、ある時は凛々しく前を見据え、ある時は目を閉じ感情に身を任せて体全体を捩らせる。その姿がフロント中央でバンドに華を添えるとともに、生で聴くと予想以上に力強い声量を発揮していて、ヴォーカリストとしても十分存在感を発揮していました。


その一方で、やはり一番弱さを感じたのはドラム。高速2ビートは微妙につんのめったりもたったりと不安定さが残るし、上モノの荘厳さに比べて硬さ/鋭さが足りなくてあまり凄味を感じられなかった。 「火焔鳥」 や 「眼は神」 といったアグレッシブ寄りの曲で特に弱さが目立ってしまったのが残念。基本的にどの曲も多い手数でバタバタと忙しなく暴れるのですが、どうもそのアレンジにテクニックが追いついてないような…。 「塵に過ぎない僕は塵に返る」 などのポストロック寄りの曲では荒々しさも十分に出てて良かったのですけどね。バンドの演奏陣がもっと基礎体力をつけてくれれば、さらに説得力を増して化けることができると思うんですがどうでしょう。


そして後攻は weg 。ぶっちゃけ言うと前見た時と全く同じでした。編成、セットリスト、映像、何もかも変わってなくて正直新鮮味はゼロ。にも関わらず今回の方が良いと思ったのはバンドとしてさらに経験を積んで一体感が増したからか。やってることは相変わらずクラシック/エレクトロニカ/ポストロックを混ぜ込んだ毒々耽美メルヘンワールドなのですが、美と醜、破壊と構築、静寂と轟音の行き来を巧みにこなすアンサンブルはもうすっかり完成の域です。特に 「100 years of choke」 「Scorpius Circus」 の怒涛のクライマックスには本当に息を飲むくらいの緊張感があり、かなりのめり込んで見れました。メンバー皆が各楽器のエキスパートということもあって一つ一つの音に強い芯が通ってるし、秒単位で完璧に構築されたショウという所で、前に Cornelius 見た時と同じ印象を受けた。十分満足のいく内容でしたけど、次見る時は少しくらい変わっててほしいかなー。


ということで、今回は weg の方に軍配。やはり経験の違いなのか、音の主張するパワーは weg の方がずっと上でしたね。夢中夢は音作りとか演奏力とか細かい所で詰めが甘いと感じる部分があって、それが少し片隅に引っかかる感じだった (それってアルバムの方にも言えることなんですけどね) 。もちろん物理的に洗練されれば必ずクオリティが上がるというわけではないですが、やはりその辺で食い足りなさを覚えたのも正直な気持ちなので。でも逆に言えばまだまだ伸びしろを感じさせるし、やはり楽曲のセンスは大好きなので結果的には十分楽しめました。これからにさらに期待といった所で。


他所から拝借したセットリスト↓


夢中夢:

1. 存在の確立
2. 灰の日
3. 少女
4. 反復する世界の果てで白夜は散る
5. いく度も繰り返されて、言葉は少しずつ意味を失い、言葉のもたらす痛みも和らぐ
6. 祈り
7. 不浄幸福讃歌
8. 塵に過ぎない僕は塵に返る
9. 眼は神
10. 火焔鳥
11. 楽園


world’s end girlfriend & POLTERGEIST ensemble:

1. birthday resistance
2. 100 years of choke
3. you
4. Scorpius Circus
5. We are the massacre