MARISSA NADLER 「Little Hells」

Little Hells

Little Hells

ワシントンのシンガーソングライターによる、2年ぶりの4作目。


前作は全曲アコギ弾き語りを基調とした作品だったんですが、それに比べると今回は随分とアレンジの幅が広がってます。もちろん従来の流れを踏襲したフォーク曲も幾つか健在ですが、オープナー 「Heart Paper Lover」 ではくぐもった響きのウーリッツァー、 「Mary Come Alive」 ではプログラミング音に生ドラム×エレキギターといったロックバンド編成、 「The Hole is Wide」 では歯切れ良く鳴らされるピアノと、アイディアとしては実にシンプルなものですが、そういったアコギ以外の楽器がとても効果的に導入されてる。なので聴きやすさが増した印象を受けるのですけども、だからと言って本来の情念深さが薄らいだわけでは全然なく、むしろその変化によって情念が即効性を増してより伝わりやすくなってます。 「Loner」 では異様なリバーブの深さが本当に呪われそうなほどダークな瘴気を放ってるし、優しい歌声が真綿で首を絞めるようにゆらりと纏わりつく、果てしない業の深さにただ陶然とするばかり。前述の 「Mary〜」 なんて森田童子が80年代ヤプーズに電撃加入したみたいで最高だ。前作も好きだったけど今回はそれ以上に気に入りました。


Rating: 8.8/10
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