Antony and the Johnsons 「SWANLIGHTS」

Swanlights

Swanlights

1年9ヶ月ぶりとなる4作目。


意外に短いインターバルで完成した本作。やはりアントニーの声が圧倒的な存在感を持って迫る。柔らかな丸みを帯び、繊細に揺れ、時には高らかに力強さを持って響く、その歌。何かが始まる予兆、夜明け前の光のようなスケール感をひとつのセンテンスに込めたオープナー 「Everything is New」 、内なる自分を解放するポジティブな力強さに満ちた 「Ghost」 、 「生」 のすべてを祝福する表題曲 「Swanlights」 と 「愛」 の意味を問う先行シングル 「Thank You for Your Love」 、ゲスト参加の Björk が負けじとその個性をアピールする 「Flétta」 など、崇高な意志に貫かれた11曲。音的にはクラシック方面へとさらに焦点が絞られたぶん、ピアノやストリングスの華やかさ、流麗さを増し、そのアコースティックな響きを引き立てる音響効果もあって、深さと軽さが同時に増したような印象を受けます。メロディはややポップさから遠ざかり一聴して引っかかりにくくなった面もありますが、明け透けな派手さには囚われず、むしろ彼の個性がさらに純化されたイメージ。ちなみに言うとジャケットの装丁も素敵です。久々にパッケージとして手元に置いておきたいと思った。


Rating: 8.4/10
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