THE NOVEMBERS 「To (melt into)」

To (melt into)

To (melt into)

1年5ヶ月ぶりとなるフルレンス3作目。


彼らの作品やライブには何度か接触する機会があったのですが、この新作にある彼らはその過去よりもずっと、緊張感が張り詰め、閉塞的で、救いがない。インタビューを読むと彼ら自身はそこまで諦観しきってはいないようですけども、少なくとも音からはそういったシリアスでナイーブな、陰鬱とした感覚が肺を冒す瘴気のように広がってきます。物理的なアグレッション、オルタナティブな荒々しさは以前より後退しており、クリーン主体で様々なエフェクトを駆使した空間的サウンドへと変化。それにより彼らの本質がより浮き彫りになった気がします。「僕らはいつのまにか 複製された永遠にいる」 「覚え方を忘れさせて 忘れ方を覚えさせる」 抜け出せない業のような闇と、不意に思い出す綺麗な情景や感情と。 「終わらない境界」 「holy」 のような牧歌的で美しい曲でも、背後には現実逃避にも似た後ろめたさ、背徳感のようなものが付き纏う。例えば downy 「無題(3rd)」 や Syrup16g 「HELL-SEE」 にも通じる、真綿で首を絞めるように迫る、優しくも歪んだ感情表現。この良い意味 (悪い意味) でドン詰まりな内省の深みには思わずシンパシーを感じてしまう。劇薬盤。


Rating: 8.0/10
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